こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミッション:8ミニッツ

otello2011-10-31

ミッション:8ミニッツ Source Code

ポイント ★★*
監督 ダンカン・ジョーンズ
出演 ジェイク・ギレンホール/ミシェル・モナハン/ヴェラ・ファーミガ/ジェフリー・ライト
ナンバー 258
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


気が付くと見覚えのない場所にいて、見知らぬ女と会話を交わし、鏡の中には赤の他人がいる。自分がいったい誰なのか、どこにいるのか、何をしているのか全く思いあたらずおろおろする。感覚も思考もクリアなのに、なぜか目の前の現実が全く把握できない、そんな主人公が不安のあまりパニックに陥る心情がリアルだ。列車事故犠牲者の生前の脳内に送り込まれた彼は、はたして歴史を塗り変えられるのか。現在と過去、映画は時空を超越したプログラムに変換された男が、自らの手で運命を切り拓く過程で真実の愛に覚醒する姿を描く。


シカゴ行列車で目覚めたスティーブンス大尉は同席の女にショーンと呼ばれ戸惑ううちに、車内で爆弾が爆発、再び目覚めるとカプセルの中に拘束されている。軍によってデータ化されたスティーブンスの意識は事件の直前8分間のショーンの人格と入れ替わって、爆弾テロリストの特定を命じられる。


何度も繰り返される「最期の8分間」。役割を理解したスティーブンスは命令を実行し、爆弾のありかや解除法、犯人の目星までつけるが、すでに起こった爆発の事実だけは変えられない。一方で、ショーンの体を借りて、自分自身の経歴も調べていく。二転三転する状況と意外な展開の連続、そして大切な人に思いを伝えたいという願いが交錯して、スリルの中にも愛に満ちた物語に変貌していく。


◆以下 結末に触れています◆


やがて、スティーブンスは自らの意思でプログラムの域を超える選択をし、列車の爆発を未然に防ぎテロリストを逮捕するという過去を歪める行動に出る。それが現在に影響を及ぼす結果になっても、己が選んだ道を進む。死を恐れない優秀な軍人だったに違いない、だが、クリスティーナの存在が「守りたい」気持ちを彼の中に芽生えさせるのだ。ただ、命がけで世界を救った彼の勇気は素晴らしいが、スティーブンスに肉体を乗っ取られたショーンの立場はどうなるの? タイムトリップにつきものの矛盾を抜きにしても、気になって仕方がない。。。