こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ビーストリー 

otello2011-11-25

ビーストリー Beastly


ポイント ★★*
監督 ダニエル・バーンズ
出演 ヴァネッサ・ハジェンズ/アレックス・ペティファー/メアリー=ケイト・オルセン/リサ・ゲイ・ハミルトン/ニール・パトリック・ハリス/ダコタ・ジョンソン
ナンバー 273
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


金髪碧眼ハンサム長身細マッチョ…。理想のルックスを持つ高校生は容姿に恵まれない周囲の人々を見下し、敗者と決めつける。外見が人間の価値のすべてと信じて疑わず、臆面もなくそれを口にする主人公が、“人は見かけではなく中身”などと言うのはブスとバカの泣きごとと切り捨てるあたり、もはや清々しくさえある。映画は彼が魔法でおぞましい姿に変えられ、期限内に真実の愛を見つけなければ復元できないというお馴染みのディズニーアニメをNYの高校に舞台を移した現代版。スキンヘッドにタトゥーや生傷、金属を埋め込んだ“変身後”は、堂々と振る舞っていればかえってクールに見えるほど完成度が高い。


顔とボディに絶対的なプライドを持つカイルは、“魔女”と噂される同級生・ケイドラをパーティで侮辱したせいで呪いをかけられ、彼自身の虚栄心を表出させた姿にされてしまう。1年以内に誰かに愛されなければ一生そのままと言われ、カイルは学校をやめてひきこもってしまう。


母は不在、セレブな父とは血の通った会話もない。そんな家庭に育ったカイルは人を思いやれない。だから自分の気持ちが誰にも分かってもらえないと苛立ちを隠せない。一方、盲目の家庭教師・ウィルはカイルの心を見透かして、目に映らないモノの大切さを教えようとする。そして、見えないからこそ己の内面が見た目にも表れるよう気を使うウィルの洗練されたおしゃれは、カイルの心の目を開いていく。そのあたり、ティーンエージャーを意識して作っているのだろう、カイルの自信喪失と立ち直っていく過程が非常にストレートに描かれる。


◆以下 結末に触れています◆


やがて、かつての同級生リンディが好意を抱いてくれていたことを知ったカイルは、彼女に接近する。醜さを気にせず接してくれるリンディに惹かれ始めたカイルは、初めて他人のために生きる素晴らしさを知る。その後は特にひねりもなく予想通りの展開を見せ、心を入れ替えたカイルはリンディの愛を得て元に戻る。だが、あれだけイケメンで性格もよかったらかえって嫌味な気もするが。。。


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