こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ドラゴン・タトゥーの女

otello2012-02-12

ドラゴン・タトゥーの女
THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO

オススメ度 ★★★
監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ダニエル・クレイグ/ルーニー・マーラ/ロビン・ライト/ステラン・スカルスガルド/ジュリアン・サンズ
ナンバー 34
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

封印された秘密をなぜ今頃掘り起こすのか。それは依頼者自身がいまだ最愛の姪の死に納得がいかないから。真実を知りたい、結果がたとえ苦悩と苦痛に満ちたものであるとしても…。そんな老人の願いと予想外の報酬が男を動かし、タスクの複雑さと血なまぐささが女の好奇心をかき立てる。物語は、敏腕記者と天才ハッカーが大富豪一族の血塗られた過去を取材するうちに、驚くべき真相にたどり着くまでを描く。陰鬱だがスタイリッシュ、知的だがバイオレント、新聞記事・写真・日記…膨大な資料と未解決の謎を手掛かりに事件の全貌を明らかにしていく過程は、結末がわかっていても強烈な吸引力を放つ。

巨大企業グループの元総帥・ヘンリックは40年前に起きたハリエット失踪事件の調査を、謹慎中の記者・ミカエルに依頼する。ミカエルは驚異的な知能指数を持つ女・リスベットの力を借りて、入り組んだパズルのピースを一つずつ埋めていく。

ヘンリックはハリエットの死を信じていなかったのだろう。毎年送られてくる額に入った押し花が一層その思いを強くする。一方で、彼の兄弟にナチ信奉者が続出し、残虐な闇を持て余している者がいるのにも気づいていたはず。もはや余命もわずか、もう一度ハリエットに会いたい。だが、ハリエットに連絡を取るのは同時に彼女を危険にさらすことでもある。それゆえ、ハリエットを追い詰めた犯人を突き止め彼女の安全を確保する必要がある。だからこそ外部の人間であるミカエルに依頼したのだ。

◆以下 結末に触れています◆

そしてヘンリックの計画にいちばん恐怖を覚えたいたのは甥のマルティンにほかならない。表向きはミカエルを歓迎しても、彼とリスベットが想定以上に有能だと悟ると、何とか阻止しようとする。なおかつ彼らよりも先にハリエットを探し出して口を封じなければならないのに、自分にはその手立てが浮かばない。もう逃げきれないと覚悟を決めたマルティンが本性をむき出しにするシーンは、人間の心の奥に潜む狂気が暴走する瞬間、絶望と破滅の果てにある死こそ彼にとって真の安らぎだったに違いない。。

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