こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マンイーター

otello2012-02-23

マンイーター ROGUE

オススメ度 ★★*
監督 グレッグ・マクリーン
出演 ラダ・ミッチェル/マイケル・バルタン/サム・ワーシントン/バリー・オットー/ミア・ワシコウスカ
ナンバー 37
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

静かな川面にさざ波が起きたかと思うと、次の瞬間には人が消えている。縄張りへの侵入者はすべて敵とみなし容赦なく攻撃を加える巨大ワニ、映画は一人また一人とその牙の餌食になっていく観光客グループの恐怖とエゴ、そして勇気を描く。脅えて体が硬直する者、自分だけは助かろうとする者、危険を顧みず水に入る者、リーダーの責任を果たそうとする者…。カメラは絶望的な状況で人々が見せる本性をとらえてキャラクターを膨らましていくが、そんな人間同士の思惑など関係なしに、大アゴが彼らの運命を呑み込んでいく。

オーストラリア北部の国立公園を訪れた旅行ライターのピートはケイトが舵をとるリバークルーズ船に乗り込む。船はワニがうようよいる川をさかのぼり奥地に向かうが、救難信号を確認するうちに、船よりも大きいワニの生息域に迷いこんでしまう。

船は破壊され、無線機も通じない。一時的に避難した陸地も、満潮と共に沈んでいく。生き残るには対岸に渡るかなく、川をまたいでロープを張るべく地元の若者・ニールがワニの待ち受ける水中に入っていく。その間も大ワニは時折背中で水面を波立たせたり、泳いでいる人間をワニ目線で水中から見上げる。これらのシーンのテンションを盛り上げる手法は「ジョーズ」のよう。一方でB級ホラーのテイストもてんこ盛りで最後まで緊張感は持続する。

◆以下 結末に触れています◆

やがて、孤立したピートはワニの巣穴に落ち、瀕死のケイトをみつける。そこからは全身をさらした大ワニとピートの死闘、水陸両方で動き回れるワニの身体能力の高さが新鮮だった。手つかずの大渓谷とジャングル、野生動物、つまり人にとって決して快適とはいえない場所をカネもうけのために開発する。このワニはそういう人間のおごりに対する自然界からの警告なのだろう。しかし、大上段に構えて環境保護を訴えるより、ただひたすらワニと人間に焦点を絞ったところにかえって好感が持てた。

↓公式サイト↓