こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

REC レック3 ジェネシス

otello2012-03-09

REC レック3 ジェネシス

ポイント ★★*
監督 パコ・プラサ
出演 レティシア・ドレラ/ディエゴ・マルティン
ナンバー 46
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

神の前で夫婦の契りを交わした男と女、ふたりの半生を振り返るビデオは幸せに満ちている。その後、これからの人生を共に過ごす期待に胸を踊らせたまま、披露宴会場に場を移す。新郎新婦・招待客の笑顔と祝福をカメラに収めようとする親戚の少年とプロのカメラマン、映画は彼らが撮った素人っぽさの残る映像とプロの技術でとらえた洗練された映像を交えて一部始終を再現しようとする。ところが、突然襲い掛かる未知の恐怖に祝宴が惨劇に一変し、記録するよりも生き残ることを選ばざる得なくなる。純白のウェディングドレスが真っ赤に染まり、次々と友人・親族さらに親までがゾンビと化す修羅場は、血と死の美学を感じさせる。

クララとコルドの披露宴が酣となったころ、コルドの叔父が酔っぱらって二階から転落、駆け付けたおばさんの首に歯を立てる。同時にゾンビたちがバンケットルームに乱入、出席者を毒牙にかけ、感染者もまたゾンビとなって人間の肉を食らい始める。

前2作を踏襲して、フェイクドキュメンタリーで通すのかと思いきや、プロカメラマンの愛用機が壊れた時点で、通常の劇映画の演出に転換する。もはや同じ手法は観客に飽きられているとわかっているのだろう、この転調はむしろ潔い。物語も撮影者の主観ではなく、広大な庭園内で離れ離れになったクララとコルドが相手の生存を信じてお互いを探す、愛とサバイバルに昇華されていく。そんな中、チェーンソーでドレスの裾を切り戦い抜く決意をするクララの姿が勇ましく、またゾンビをチェーンソーで真っ二つに斬り裂く場面など爽快感すら覚えた。

◆以下 結末に触れています◆

後半は普通のゾンビ映画と大差なく、ゾンビたちが神父の説教中は動きを止めるあたりが新ネタ。だが、油断したクララが耳の遠いゾンビに噛まれるというオチまでついていて、おぞましさの中にも結構笑えるシーンもある。そして、ふたりの愛だけは絶対に揺るがない、その一点を守り通したのが絶望的な状況の中で救いとなっていた。

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