こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

キリング・ショット

otello2012-03-15

キリング・ショット CATCH.44

オススメ度 ★★*
監督 アーロン・ハーヴェイ
出演 ブルース・ウィリス/フォレスト・ウィテカー/マリン・アッカーマン
ナンバー 58
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

とりとめのないガールズトーク、シャッフルされた時制、三すくみのにらみ合いetc. タランティーノ作品でおなじみのシチュエーションが引用された映像ながら、先の展開が読めるどころかますます謎が深まる効果をもたらし、突き付けられた“何故”がさらに新たな疑問を呼ぶ。観客は混沌から張り巡らされた伏線を探しだし、物語を再構成し直さなければならない。その過程で見落とした小物はないか、会話にヒントが隠されていないか、全体像がなかなか見えない中で映画は緊張と興奮のボルテージを上げていく。

ボスのメルから麻薬売買の現場を押さえろと命令されたテスと仲間の女ギャング3人組は、取引場所のダイナーを張りこむ。深夜、約束の時間が大幅に過ぎてもディーラーは現れず、痺れを切らした女たちは事情を聞こうと女店主に銃を向ける。

3人の美女のうち、2人までが早々と撃ち殺され、客や店主も血の海に息絶える。テスたちはハメられたのか、それとも何か計算違いがあったのか、もはや後戻りできない状況でダイナーのコックと銃を向けあったまま腹の探り合いをする。コックもまたすべてのいきさつを知っているわけではない。そこに殺し屋が現れ話をもっと複雑にしていくが、彼が過去の因縁を明かしていくうちに意外な方向に舵を取り始める。そして、冒頭メルが語った「7年も一緒に仕事をしてきた」相手が明らかになるにつれ、一層テンションは高まっていく。

◆以下 結末に触れています◆

一瞬で男の腕をひねり上げるフォレスト・ウィテカー扮する殺し屋が存在感抜群。特に保安官になり済ましてテスたちに職質するシーンは、まとわりつくようなしつこさで、ジワジワと彼女たちを追い詰めていく。女たちは嫌悪感いっぱいでも顔は愛想笑いを崩さない。制服のもつ権力と後ろめたい日常を送っている犯罪者の心理がデフォルメされ、思わず共感してしまった。ただ、どうせなら同じ趣向でも“タランティーノ越え”を目指してほしかった。。。

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