こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

僕等がいた 前篇

otello2012-03-21

僕等がいた 前篇

オススメ度 ★★★
監督 三木孝浩
出演 生田斗真/吉高由里子/高岡蒼佑/本仮屋ユイカ/小松彩夏
ナンバー 68
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

急に日常に光が差したかと思うと、ふとした言葉の行き違いで空気が淀んで見えてしまう。人を好きになった時の胸が弾む気持ちと、好きな人を疑ってしまう息苦しいもどかしさ。一途な恋にすべてのエネルギーを傾けるヒロインの笑顔がまぶしく苦しみが切ない。だが、“悩みって生きている人間の特権”のフレーズに象徴されるように、相手を想うがゆえの苦悩は、そのまま生きる喜びに直結しているのだ。映画は憧れの的のイケメンと交際する女子生徒がさまざまな困難を乗り越えて真実の愛に辿り着く過程を描く。教室、校舎の屋上、校庭、学校行事。それら豊かなディテールに恵まれた各々のエピソードは登場人物の恋にまつわる喜怒哀楽をリアルに再現する。

秀才でスポーツ万能、おまけにカリスマ性を備えたクラスメート・元晴に初めは反感を覚えていた七美だったが、いつしか意識して付き合い始める。しかし、元晴は事故死した元カノ・ナナが忘れられないでいた。

元晴はナナの記憶だけでなく、ナナの妹・有里という現実にも付きまとわれている。七美との仲が進むにつれ有里の妨害も顕著になるが元晴は抗えない。そんな自分に耐えられず、つい七美と距離を置いてしまう。七美は煮え切らない元晴が許せず連絡を取ろうとしない。お互いに恋しくて恋しくてたまらないのについ意地を張ってしまう、でもやっぱり離したくない、そして顔を見ると感情を爆発させてしまう。ふたりの打算も駆け引きもない、不器用なまでのストレートな、“過去”でも“未来”でもない“今”を精いっぱい正直に走ろうとする姿は、人生の輝きに満ちていた。

◆以下 結末に触れています◆

さらに、元晴の親友・竹内が七美への思いを抑えきれずに横やりを入れてきたりするが、七美は揺るがない。そこに降ってわいた突然の別れ。「矢野の願いが叶うことが私の願い」という七美のセリフに、人を愛する美しさとその意味が凝縮され、恋愛の素晴らしさを高らかに謳い上げる映像に心を洗われるようだった。ただ、竹内に扮した高岡蒼佑は老成しすぎていてとても高校生に見えなかったが。。。

↓公式サイト↓