サニー 永遠の仲間たち
オススメ度 ★★★*
監督 カン・ヒョンチョル
出演 ユ・ホジョン/ジン・ヒギョン/シム・ウンギョン/ミン・ヒョリン/カン・ソラ
ナンバー 68
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
それなりに豊かな暮らしをしているのに、誰かの妻か母でしかない日常は物足りなく煮え切らない。ありふれた専業主婦が偶然昔の親友と再会したのをきっかけに、いつも一緒に時間を共にした友人たちを集めようとする。彼女たちとのかけがえのない学園生活はケンカや失恋ですら懐かしい思い出となってきらめいているのに今ではただ流されるように過ごしている、仲間探しの過程でヒロインはそういった思いを胸に抱き始め、やがて過去と現在の自分自身を見つめ直す旅になっていく。その上で精いっぱい生きるようになった彼女たちを素敵に見せる、人生を肯定する映画の姿勢が素晴らしい。
母を見舞った病院で、ナミは末期がんに冒されたかつての親友・チュナの名を見つける。チュナの頼みで高校時代にグループを作っていたメンバーの消息をたどる羽目になったナミは早速母校を訪れる。すると彼女の脳裏には過ぎ去りし日々の記憶がよみがえってくる。
田舎からの転校生だったナミは方言やダサイ服装をからかわれるが、アネゴ肌のチュナに助けられ仲よくなる。そしてグループにサニーと名付け、敵対グループとの決闘に臨む。そのあたりは過度に美化せず、かといってシリアスにもならず、ほのかにコミカルな味付けがなされていて非常に口当たりが良い。特にデモ隊と警官隊が対峙するなかでの大乱闘は、暴力の中にも笑いがちりばめられ、一方で民主化移行期のソウルの情景がリアルに反映されていた。
◆以下 結末に触れています◆
あの頃の願いが叶った者、夢破れて疲れ果てている者、皆大小の問題を抱えている。それでも、みんなで力を合わせ現実と戦おうとするときだけは往時の目の輝きを取り戻している。楽しいことつらいこと哀しいこと悔しいこと、若いころ共通体験をした者同士の絆は決して切れたりはしない、そんな青春と友情の美しさを謳いあげ、年齢を重ねるのも悪くないと思わせる作品だった。また、永遠の結束を誓ったのに25年間お互いにまったく音信不通だったのはなぜか、最後に答えを導く構成にも舌を巻いた。