こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジョン・カーター

otello2012-04-16

ジョン・カーター JOHN CARTER

オススメ度 ★★
監督 アンドリュー・スタントン
出演 テイラー・キッチュ/リン・コリンズ/ウィレム・デフォー/サマンサ・モートン
ナンバー 92
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

赤茶けた不毛の惑星と思われていた火星にも、空気も水もあり人間が住んでいて高度な文明とともに暮らしている。銃器は稚拙でも光をエネルギー源にした飛行機を飛ばすほどの科学力を持ち、欲望に駆られた者たちが戦いに明け暮れている。物語はそんな未知の国 に飛ばされた地球人が、争いに巻き込まれつつも自らの生きる道を模索していく姿を描く。荒涼とした大地や壮麗な建築物が並ぶ都市、深い谷川や洞窟といった壮大な風景と、手が4本あり独特の文化を持つ緑色肌の現地人。一方で主人公が恋愛感情を持ちえるほど地球人と酷似した人々もいる。重力の違いから超人的な跳躍力を手に入れた彼だが、決してスーパーマンにならずに中途半端な強さのまま中途半端に力を貸すのが惜しい。

19世紀末、アリゾナの荒野で金を探していたジョンは異世界に飛ばされる。砂漠で目覚めたジョンは好戦的部族に捕えられ厳重な監視下に置かれてしまう。すぐ近くでは2国間の戦闘が起き、超文明・サーン族から新兵器を与えられたゾダンガ王国がヘリウム王国を圧倒していた。

何度逮捕・投獄されても脱獄を繰り返すジョンは不屈の魂を持った自由人で、妻子を失った悲しみから他人との関わりを避けている。ところが、己を犠牲にしても故国を救おうとするヘリウムの王女・デジャーに徐々に心を奪われていく。そして、彼らの戦争に首を突っ込んで大活躍するが、ストーリーの展開だけでなくアクションの目玉となる戦闘シーンなどもどうもぬるく、ジョンの成長物語としても見るべきポイントが乏しい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そもそも、命を狙われたジョンから電報を受け取った彼の甥が、ジョンが遺した日記を読むうちにファンタジーの世界に観客をいざなう設定なのだが、その過程に隠されたジョンの「死」の秘密こそが最大の見せ場。結局、火星を舞台にしたスペクタクルよりも、19世紀の開拓地やニューヨークでのエピソードのほうがミステリアスな味わいがあって楽しめた。ただ、これでは本末転倒だと思うが。。。

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