こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン

otello2012-05-04

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン Bridesmaids

オススメ度 ★★
監督 ポール・フェイグ
出演 クリステン・ウィグ/マーヤ・ルドルフ/ローズ・バーン/ウェンディ・マクレンドン=コービー/エミリー・ケンパー/メリッサ・マッカーシー/クリス・オダウド
ナンバー 110
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

コメディとは、シチュエーションにリアリティがありディテールに共感できてこそ心をくすぐるのだが、この作品は双方をおざなりにして、エッチ系排泄系入り混じった下ネタとタチの悪い絡み、そして非常識のオンパレードで攻めてくる。まさに人生のどん底、そんな境遇で周囲に迷惑をかけまくることでしか自己の存在を確認できないヒロインのやけっぱちな心情を再現しているのだろう。ところがここまで徹底して波状攻撃を仕掛けられると不快感は突き抜け、今度はどんな“笑えないおバカネタ”が披露されるのかと期待してしまう。どうせなら彼女に同情など寄せず、最後まで大顰蹙キャラで突っ走らせてほしかった。

事業に失敗し恋人にも逃げられたアニーは、親友・リリアンの結婚式での花嫁介添人リーダーを任される。だが、他の介添人は非協力的なジコチュー女ばかり、特にセレブ気取りのヘレンとは事あるごとに意地を張りあい意見が対立する。

負け犬なのに負けを認めず、己の置かれた立場を客観的に見られずに悪い出来事はすべて周りのせいにしてしまうアニー。むしろ自分で自分を不幸の蟻地獄に突き落とすのを楽しんでいるようでもある。彼女を唯一理解しようとしてくれた警官・ローズの心遣いまで踏みにじってフラれてしまう。空気を読まず他人の気持ちを慮れず短慮な行動に走り、更なる自己嫌悪に陥る悪循環。結局、経験からまったく学ばないこのバカ女はいったい何をどうしたかったのか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一応アニーは30代の設定になっているが、40に手が届こうとしているはず。濃いめのアイメークで目尻の衰えはカバーしているものの、時折見せる口元に刻まれた深い皺と首から胸元にかけてのたるみは隠しきれない。それでもまだ性欲だけは旺盛で“女”のフェロモンを出しまくっている。その、見苦しいほど悪あがきしている姿だけがアニーという中年女の真実を物語っていた。。。

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