こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

宇宙兄弟

otello2012-05-07

宇宙兄弟


オススメ度 ★★*
監督 森義隆
出演 小栗旬/岡田将生/麻生久美子/濱田岳/新井浩文/井上芳雄/塩見三省/堤真一
ナンバー 112
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

狭い閉鎖空間で24時間監視されながらの共同生活、次々出される課題に被験者たちのストレスは次第に募り冷静さを失っていく。彼らは、知能が高く知識も豊富で応用力もあって肉体的にもタフ。だがそこで試されるのは、想定外の事故を打開する精神力と実行力、リーダーシップとフォロワーシップ、何よりも危機的状況でも決して希望を捨てずミッションを遂行し生還しようという強い心。「ライトスタッフ」時代の超人的能力ではなく、21世紀の宇宙飛行士の適正試験は、総合的な人間力を問われるのだ。映画は宇宙飛行士を目指す青年の姿を通じ、夢をあきらめない大切さを描く。

会社をクビになったムッタは宇宙飛行士となった弟のヒビトの計らいで、JAXAによる宇宙飛行士選抜試験を受ける羽目になる。一次、二次ともに合格したムッタは最終試験に臨む。

候補者はいずれも医学や自然科学、航空工学などの分野で抜きんでた才能を持つ者ばかり。その経歴の前では無職のムッタはかなり見劣りするが、彼を支えているのは少年の時にヒビトと交わした約束、宇宙に行きたい気持ちだけはだれにも負けていない。ある意味ほとんど何の実績もないから謙虚に他人の意見に耳を傾け、逆に大胆な発想で突発的な事態に対応する。そして、候補者同士の信頼が壊れそうになった時に見せる場を和ませる機転こそ、命がけの任務につく者の素養だとムッタは証明していく。そんな試験のディテールとムッタの変化が物語にリアリティを与え、ツッコミたくなるような展開を補っていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、、2025年を舞台にしているのに、ケータイやパソコンなどのハイテク製品をはじめ、街並みや登場人物の服装、小道具がすべてイマっぽいのはどういう狙いなのか。もちろんこの作品のテーマは文明の進歩ではなく、「人間の意志の力」であることは理解できる。それでもある種の“未来感”は必要だろう。現在でも入手困難なカセットテープをムッタが再生するシーンには引いてしまった。。。

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