こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ベルフラワー

otello2012-05-11

ベルフラワー BELLFLOWER

オススメ度 ★★*
監督 エヴァン・グローデル
出演 エヴァン・グローデル/タイラー・ドーソン/ヴィンセント・グラショー/ジェシー・ワイズマン/レベッカ・ブランデス
ナンバー 103
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

プロパンボンベを爆破し、火炎放射機で人形を丸焼きにして、大パワーのエンジンを積み排気口から火を噴くクルマをぶっ飛ばす。世紀末、強い者のみが生き残る世界を支配する力を身につけようと日夜研究を続ける若者。夢を追っているようで、実は逃げているにすぎない。それでも恋愛感情は人並に持っている。映画はそんな主人公が失恋の果てに暴走する過程を描く。誰もがひれ伏す悪のヒーローになりたいが、実現するのは空想の中だけ。へっぴり腰のダメ男が抱える青春の苦悩と葛藤、しかし切なさよりもショボさ、絶望よりもみじめさが前面に押し出され、類まれなる哀しい喜劇に昇華されている。

マッドマックス2」の悪党に憧れるウッドローとエイデンはこの映画で使われる武器の開発に余念がない。ある日、ウッドローはミリ―と出会い付き合い始めるが、ほどなくミリ―が他の男とセックスしている現場に遭遇する。

コオロギをむさぼり食い、初めてのデートでわざわざテキサスの最低レストランまで行こうとするミリ―は、自分のねじが緩んでいるのを自覚しているのだろう。ウッドローに「私を信用しないで」とくぎを刺し、すぐに彼に飽きはじめる。だが、ウッドローにとって彼の理想に共鳴してくれた唯一の女、彼女への思いは募るばかりだ。情熱も駆け引きもなく恋と呼ぶには未熟で荒々しすぎるふたりの関係は、頭で理解するより狂おしいほどの感情として受け止めるしかない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ミリ―の浮気に怒ったウッドローはバイクで走りだすがクルマにはねられ大けがをする。そしてミリーへの未練がウッドローの脳内で様々な幻覚を生み出していく。もはや彼にとって、つまり観客にとっても現実との境目がどこなのかわからない。エイデンとの友情を深めエイデンの彼女・コートニーに慰められるが、それもウッドローの妄想なのかもしれない。ただ一つ確実なのは、ミリーはもう帰ってこないということ。恥の多い人生を歩むしかないウッドローの無様さには胸が締め付けられるようだった。。。

↓公式サイト↓