こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

メン・イン・ブラック3 

otello2012-05-12

メン・イン・ブラック3 MEN IN BLACK 3

オススメ度 ★★★
監督 バリー・ソネンフェルド
出演 ウィル・スミス/トミー・リー・ジョーンズ/ジョシュ・ブローリン/エマ・トンプソン/アリス・イヴ/マイケル・スタールバーグ/ビル・ヘイダー/ジェマイン・クレメント/レニー・ヴェニート
ナンバー 115
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

色も形状も、もちろん出身も多彩、まるでエイリアンの坩堝の感がある現代のNY、異星人たちは外見こそ地球人に変えているが、すっかり地域に根をおろしている。一方、40数年前はまだ人種差別が残っていて、当然エイリアンたちも息をひそめて暮らしている。時代によって違う「異質な者」への理解と偏見を描くことで、米国流の民主主義も常に進化しより理性的になろうと変化していると、この作品は訴える。それでも、欲望のまま暴力をふるう者は排除しなければならない。映画は過去を塗り替えんとする犯罪者を探すうちに相棒と再会する主人公の姿を追う。ふたりのエージェントの間に、こんな秘密があったのかと思わせる仕掛けがニクい。

月面監獄に監禁されていたボリスが脱獄し、NYでタイムトラベル装置を入手、1969年に戻って自分を逮捕した時のKを抹殺する。異変を察知したJもアポロ11号打ち上げ前日にタイムスリップ、若き日のKとコンビを組むハメになる。

現在ではJの師匠であるKもそのころは経験も浅い。だが当時のホイール型バイクや飛行補助具などで大暴れするだけの体力も残していて、ボリスとの闘いでも一歩も後を引かない。このあたりは手に汗握る展開の連続、特にボリスが手のひらから放つ手裏剣風の武器がスクリーンから飛び出すような効果をもたらし3Dの特性を生かしている。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ボリスといういかにも東欧風の名前は、ロシアをイメージしているのだろう。それも、今では中国にも抜かれ「新興国」と呼ばれる21世紀のロシアではなく、冷戦時代の超大国・ソ連。ボリスとK・Jが最終決着をつけるのが打ち上げ寸前のアポロ11号ロケット発射台なのが象徴的だ。60年代は一触即発の米ソ関係も70年代には経済的な差が開き始め、結局ソ連は崩壊する。アポロによる月面着陸の成功は米ソの均衡が破れるその第一歩となる出来事なのだ。もし、アポロ計画が失敗していたら、世界の覇権はロシアが握っていたかもしれない、そんな思いがKのいない“現在”が物語っていた。。。

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