こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

幸せの教室

otello2012-05-13

幸せの教室 LARRY CROWNE

オススメ度 ★★
監督 トム・ハンクス
出演 トム・ハンクス/ジュリア・ロバーツ/ブライアン・クランストン/セドリック・ジ・エンターテイナー/タラジ・P・ヘンソン/ググ・バサ=ロー/ウィルマー・バルデラマ/パム・グリア
ナンバー 117
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

高卒ゆえにリストラされた中年男が人生をやり直す過程で、それまで知らなかった生きる喜びに目覚めていく。親子ほど年齢が違う若者たちとの友情。身の丈に合ったコンパクトな暮らし。何より身につけた技術と知識を自分のアイデアとして消化し、言葉にして他人の前で語る楽しさ。映画は、主人公の前向きな姿を通じて、チャレンジすのに遅すぎることなどないと教えてくれる。ただ、クラスメートは個性的な善人ばかりなのだが、とても大学生とは思えない知的水準。エリートや起業家を育てる有名大学ではない、コミュニティカレッジのレベルを改めて認識した。

スーパーをクビになったラリーは就活も連敗、学歴をつけるために地元のカレッジに入学する。履修した「スピーチ」のクラスの講師・テイノーは結婚生活に破綻しやる気を失っていた。

燃費の悪いクルマに乗るのをやめミニバイクで通学するラリーは、まるで今まで背負ってきた“見えない負債”を完済したかのように生き生きしはじめる。家やクルマ、仕事といった“一人前の男”に見られたいという見栄を捨てるだけで軽やかな気分になれるのか、失うもの・守るべきものがない人間のフットワークの軽さがうらやましい。物語はそんなラリーに夫と喧嘩別れしたテイノーやバイク仲間が絡んでいくのだが、展開が安易なうえキャラクターの掘り下げも浅い。もっとラリーの内面に突っ込まないと、このつかみどころのない飄々とした男は、年を取って少し利口になったフォレスト・ガンプにしか見えなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

どうせジュリア・ロバーツを共演に迎えたのなら、トム・ハンクスのかつての得意ジャンルだったのラブコメにしてしまえば深く考えずに楽しめたかも。ドラマにしては踏み込みが甘くコメディにしてもぬるい、煮え切らなさが最後までつきまとう作品だった。それにしても、ジュリア・ロバーツのウエストからヒップあたりの肥大ぶりには驚いた。まさか役作りのために贅肉をつけたわけではないだろうが。。。

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