こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ソウル・サーファー

otello2012-06-13

ソウル・サーファー SOUL SURFER

オススメ度 ★★*
監督 ショーン・マクナマラ
出演 アナソフィア・ロブ/デニス・クエイド/ヘレン・ハント/ロレイン・ニコルソン/キャリー・アンダーウッド
ナンバー 144
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

海中から見上げる視線の先、波間で戯れる人間たちをとらえる映像が不気味な予感を漂わせる。サーフボードに乗った人々は気付かない、そしていつそれが海面に顔を出すのかと何度も期待を持たせながら、予想していなかったタイミングで突然水面に現れて少女の左腕を食いちぎる。もちろん大量に血を流しても必要以上の残酷さにはせず、サーファー仲間がすぐにビーチに引き上げてシャツを縛り付けるのだが、このサメ襲撃シーンは「ジョーズ」を思い出させるスリルがあり、たびたび開かれるサーフィン大会で見られる技巧の数々を凌駕する出来栄えだった。物語は左手を根元から失った天才少女サーファーが、再び波と対峙するまでを描く。失意の底にある時、自分にできることは何か。それをつかんだとき、人は絶望から立ち直れるのだ。

地元の大会で連戦連勝、将来を嘱望されていたベサニー。事故の後もすぐに復帰を決意をするが、右手だけではボードに立つのも困難。家族の協力で克服し、地元の大会にエントリーするが、結局ボードが折れて失格になってしまう。

両親もサーファー、幼いころからサーフィンが人生のすべてだったベサニーにとって、片腕をなくしたくらいでその情熱は冷めないが、一方で元のようにうまく波に乗れずライバルにも差をつけられるという現実に自信が揺らぐ。そんな時経験したタイの津波被害者救済ボランティア活動。片腕では満足に働けないが、親を亡くした子供たちを海に誘って笑顔を取り戻させる。一度波に乗ればひとり、しかしその陰で多くの人たちの力が背中を押してくれている事実を知りベサニーは成長する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

どこまでも青く美しいハワイの海を映画は隅々までとらえている。さらにベサニーの腕の切断面のCG処理はシャープでリアリティたっぷり。反面サーフィンシーンのVFXは技術的な粗が目立ち、せっかくのサーフィンのテクニックが少し稚拙に見えたのが残念だった。。。

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