こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ネイビーシールズ

otello2012-06-24

ネイビーシールズ ACT OF VALOR

オススメ度 ★★*
監督 スコット・ウォー/マイク”マウス″マッコイ
出演 ロセリン・サンチェス/ジェイソン・コットル/アレックス・ヴィードフ
ナンバー 155
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

榴弾に覆いかぶさり体を盾にして男は仲間を守ろうとする。チームの危機に冷静かつ瞬時に判断を下し、己の命を投げ出すのもいとわない。それは国のため家族のためというよりは、軍人にとっての最高の名誉のために取った行動なのだろう。映画は世界中を又にかけて対テロ作戦を展開する米海軍特殊部隊と暗躍する国際テロ組織の“戦争”に密着する。米軍がいくらハイテク兵器で武装しているとはいえ、最後には人と人との戦い、死を恐れない敵と相対したとき各々の隊員の練度と士気がモノを言う現実を兵士目線の臨場感あふれる映像で描く。

テロリストを支援する実業家を内偵中のCIA女性局員が誘拐され、ローク大尉率いる小部隊が救出に向かう。彼女の情報からシャバールをボスとする国際テロ組織が米国内で大規模テロを計画中と判明、実行を阻止するためにロークたちはシャバールの行方を追う。

水中から両手だけを突き出した隊員が、狙撃された敵の見張りが水に落ちる直前にキャッチして着水音を抑える。小さな模型飛行機で上空から敵陣を偵察する。カーチェイスで追い詰められると川に飛び込む。狙撃銃のスコープや双眼鏡には反射よけの布がかぶせてある。さらにボートをヘリからつるしたり、潜水艦から小型潜水艇で敵地に上陸したり…。登場するあらゆる武器兵器の類がすべて本物で演じる俳優も“現役隊員”と謳っているだけあって、過去のどんなミリタリー映画でも見たことのないシーンの連続には思わず目を見張る。この作品を見てしまった後は、ハリウッド映画における戦場のリアリティも格段に高い水準を求められるに違いない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

もちろん登場人物の苦悩や葛藤といった物語性を究めんとした作品でないのはわかっている。それでも、戦闘シーンばかりではなく、正規隊員になるまでの地獄の訓練や、肉体的精神的苦痛を乗り越える過程で信頼や友情をはぐくみ、勇気と自己犠牲の大切さを学ぶなどの“成長”も盛り込んでいればもう少し感情に訴えられたのだが。。。

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