こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ワン・デイ 23年のラブストーリー

otello2012-06-26

ワン・デイ 23年のラブストーリー ONE DAY

オススメ度 ★★*
監督 ロネ・シェルフィグ
出演 アン・ハサウェイ/ジム・スタージェス/パトリシア・クラークソン/ケン・ストット/ロモーラ・ガライ/レイフ・スポール
ナンバー 157
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

作家になる夢を持ちながらも実生活に汲々とする女。若くして成功の絶頂を極めお祭り騒ぎが永遠に続くと勘違いした男。ふたりは30代になると反転したかのように立場が入れ替わる。そして友情を誓った彼らの間にも決別があり別の出会いがあり、いつしか違う感情が生まれていく。物語は大学の卒業式で初めて言葉を交わした男女の、23年間に及ぶ同じ日付の一日を追う。劇的な出来事もあれば何も起きない日もある、時とともに人は変わっても思い出は色あせない、映画は、平凡な時間の積み重ねが年月となりやがて人生になっていく、当たり前だけど忘れがちな事実に気づかせてくれる。

’88年7月15日、友人たちと明け方まで飲み明かしたデックスとエマは彼女のアパートになだれ込みベッドに入るが、結局友達でいようと約束する。翌年、エマはロンドンに引っ越しデックスはパリに行く。

ウエイトレスに甘んじるエマはどこか疲れている。TVの低俗番組のMCで頭角を現したデックスは酒と女に浸る日々を送っている。学生時代は似たような境遇だったのに社会に出て数年でこれほどの格差がつく現実。しかしエマは不安に駆られ悩みながらも堅実に暮らしている。一方、有頂天になったデックスは親と仲たがい、エマとも価値観がずれていく。その過程を、一年の内の特定の一日だけを切り取って彼らの愛の変遷を描く手法は斬新だが、残りの364日彼らがどうしていたかを想像させるには物足りなさを感じた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一緒に朝を迎えたあの日、約束など反故にして素直にデートに誘えばよかった、デックスはずっとその後悔を抱えて生きてきた。エマもデックスの連絡先を聞かなかったことで回り道をしたと思っていたはず。実はふたりのそんな思いが、7月15日が来るたびに蒸し返されていたがとうとう口にできなかったという構成が、ひねりが効いていた。やっぱり好きな気持ちはきちんと相手に伝えるべきなのだ。。。

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