リンカーン弁護士 THE LINCOLN LAWYER
オススメ度 ★★*
監督 ブラッド・ファーマン
出演 マシュー・マコノヒー/ライアン・フィリップ/マリサ・トメイ/ウィリアム・H・メイシー/ジョシュ・ルーカス/ジョン・レグイザモ/マイケル・ペーニャ
ナンバー 176
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
不利な裁判よりは司法取引を選び、カネを持っている依頼人からはたんまりとふんだくる。ハンサムで有能、自家用車のリンカーンがオフィスという実利的な弁護士をマシュー・マコノヒーがクールに演じる。正義感に燃えているわけではないが根っからの悪徳弁護士ではない。そんな彼が過去の失敗と職業倫理の板挟みになりながらも、何とか打開策を見つけていこうともがく姿を描く物語は極めてユニークだ。冤罪に隠された罠、変質者だが頭は切れる犯人、そして法律の落とし穴。映画は様々な伏線を張り巡らせつつ、ミステリアスでサスペンスフルな展開をみせ、意外な結末に突入する。真実と守秘義務のジレンマに苦しむ主人公はあくまで人間的だ。
女性暴行事件の容疑者・ルイスの弁護を引き受けたミックは司法取引で解決を図るが、ルイスは無罪を主張、被害者と正反対の供述をする。ところが、ミックは被害者の写真を見て、かつて担当した女性惨殺事件との共通点を見つける。
ミックはルイスの嘘と胡散臭さに、彼の犯行であると確信していく。しかし依頼人がどんな悪党でもベストを尽くさねばならず、さらに4年前の殺人事件とルイスの関わりに気づく。得意の司法取引で当時の被告の命を救ったと思い込んでいたミックは、無実の男を刑務所に送り込んでいた己の愚かさに打ちのめされるが、弁護士規則ゆえに公にできない。ルイスはそれを計算ずくでミックに弁護を依頼したのだ。このあたりの米国の司法制度はある意味抜け道だらけで、ミックが次々と窮地に陥る後半はよりスリリングだ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
でも、ルイスはなぜ、せっかく4年前の殺人を他人のせいにして自分を助けてくれた“恩人”のミックに、過失を思い出させるようなことをわざわざしたのか。ミックに劣らぬ優秀な弁護士に大金を積めば、今回の暴行事件でも無罪は勝ち取れたはずなのに。結局ルイスは墓穴を掘っただけの気もするが。。。