こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

神弓 −KAMIYUMI−

otello2012-08-29

神弓 −KAMIYUMI−最終兵器 弓

オススメ度 ★★*
監督 キム・ハンミン
出演 パク・ヘイル/リュウ・スンリョン/ムン・チェウォン/キム・ムヨル
ナンバー 213
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

弓を引く指をわずかにひねり、弦を放すと回転がかかった矢は敵が予想の出来ない軌道で飛び確実に首を射抜く。そんな神業に等しい弓の技術を持った男が迫りくる敵兵たちを単身迎え撃つ。走り、かわし、跳び、隠れ、おびき寄せ、罠にかけ、そして必殺の矢で止めを刺す彼の荒々しい息遣いがリアルに再現される。物語は、侵略軍の捕虜となった妹を救出するためにゲリラ戦を挑む弓の名手の壮絶なサバイバルを描く。飛距離や精度、弓矢にも目的に合わせて様々な種類があり、特に満州人が使うノミのような平らな鏃がついた矢は破壊力抜群。主人公との力と技のぶつかり合いは迫力満点だ。

17世紀朝鮮、父が反逆罪に問われため匿われて育ったナミは弓の使い手となる。妹のジャインと幼なじみのソグンの婚礼の日、満州軍が突然現れ村を攻撃、生存者を全員連行する。その中にはジャインとソグンも含まれていた。難を逃れたナミはジャインの奪還を誓う。

ナミは満州軍の本陣を急襲、ジャインとソグンを解放して再び山中に姿を消す。ナミの腕前を見抜いた満州軍は精鋭部隊を派遣、林から絶壁へとジワジワとナミを追い詰めていく。木々の間を駆け、谷を飛び越え、矢の雨をよけながら逃げるナミと決してあきらめない満州軍。このあたり「矢」という目に見える速度の飛び道具をテーマにしたおかげで、カメラワークに工夫がなされ、めくるめく浮遊感とスピードを味あわせてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

狩られる側から狩る側に転じたナミは、地形や藪、トラを利用した偽装工作で1人また1人と精鋭部隊を仕留めていく。彼の雄姿は「ランボー2」を彷彿させ、奇襲のアイデアは息詰まる緊張感に満ちていた。ただ、最後まで生き残った隊長との一騎打ちになぜかジャインが割り込んでくる。男同士、一対一の決闘に水を差した上、結局ナミを窮地に陥れるジャイン。百歩譲っても、走っている馬を狙うより、弓を構えている隊長の方が射やすいはず。このクライマックスはいただけなかった。。。

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