こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

コロンビアーナ

otello2012-09-03

コロンビアーナ COLOMBIANA

監督 オリヴィエ・メガトン
出演 ゾーイ・サルダナ/ジョルディ・モリャ ロス/ミシェル・ヴァルタン/レニー・ジェームズ/クリフ・カーティス/アマンドラ・ステンバーグ
ナンバー 218
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

小窓をするりと抜け、バラック小屋がひしめき合うスラム街の屋根を飛び、迷路のような狭い通路を走り抜け、急な階段を駆け下るヒロイン。彼女は「ワイルド・スピード MEGA MAX」主人公の破壊力はなく、「トータル・リコール」主人公のタフネスもなく、「ボーン・レガシー」主人公のサバイバル能力もない。ただ生き延びるために断固たる決意をしただけの、死の恐怖に脅えるいたいけな少女。近年、様々な活劇で見られる“住宅密集地での追跡劇”を、武装した悪党たちvsすばしこい小学生という構図で見せるプロローグが、しなやかなスピード感と危うい繊細さを描き切っていた。

マフィアのボスに両親を惨殺されたカトレアはコロンビアから単身米国に脱出、シカゴの叔父の下で復讐を誓う。15年後、一流の殺し屋となった彼女は請け負った仕事のほかに、マフィアにつながる悪党を次々と暗殺し、米国に亡命したボスに迫っていく。

正体を隠して侵入し、通気ダクトを這いまわり、音もなく忍び寄って銃弾をぶち込んだ後は壁をよじ登り屋上を伝う。まるで忍者のごとき軽やかな身のこなしは一部の隙もなく、伝統舞踊的な形式美すら感じさせる。その後のマフィアとの一団との派手な銃撃戦は大味ながら、タオルを使った格闘シーンはアイデアにあふれていた。カトレアを演じたゾーイ・サルダナの、褐色の肌に浮かび上がる眼が冷徹な光を放ち屈強な男たちを追い詰めていく姿は、まさに美しき黒豹。失った愛の深さゆえにもはや恋人すら真剣に愛せなくなった彼女の、憂いと哀しみを湛えた表情が印象的だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

気に食わない尋問者の手を突き刺すことで、明らかにカトレアが「ニキータ」の後継者であると宣言する。この20年間、女殺し屋を主人公にしたハードなアクション映画は進化し洗練され凶暴化した。だからこそ大型マシンガンをぶっ放したりや輸送車で突入するなどのマッチョ路線に向かうのではなく、小柄で細身な女にしかできない暗殺術をもっと見せてほしかったのだが。。。

オススメ度 ★★*

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