こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・レイド

otello2012-09-15

ザ・レイド THE RAID

監督 ギャレス・エヴァンス
出演 イコ・ウワイス/ジョー・タスリム/ドニー・アラムシャー/ヤヤン・ルヒアン/ピエール・グルノ/テガール・サトリヤ/レイ・サヘタピー
ナンバー 228
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

撃つ、絞める、斬る、殴る、刺す、打つ、蹴る、投げる、へし折るetc. チンピラと警官がマシンガンをぶっ放し、スナイパーが狙撃し、拳銃を乱射する激しい銃撃戦。ナタを振りおろし、ナイフで切りつけ、トンファを突きあげる大乱闘。その上達人同士の果たし合いまで100分間のノンストップ・バトルアクションは瞬きを忘れてしまうほどの速さと力強さを備えている。カンフーでも空手でもムエタイでもない、防御と攻撃が表裏一体となった流麗かつ実践的なインドネシアの必殺拳・シラットを基本にした格闘シーンは目を見張るアイデアにあふれ、このジャンルにはまだまだ未知の可能性が残されていることに気づかされた。

ギャングのボスが管理する高層アパートに20名の武装警官隊が突入する。しかしギャング側が応戦、退路を絶たれた警官隊は一人また一人と落命していく。そんな中、若き隊員・ラマは得意の武術でチンピラどもを倒していく。

狭い廊下で刃物を振りかざす10人以上のチンピラに単身突撃するラマ。体のあらゆる部分を使って打撃を加え、関節をひねり、急所を抉っていく。同時に負傷した仲間をかばいながら、床にもぐり、窓から飛び、壁に隠れ、数的に勝るギャングたちを次々に仕留めていく。火器に頼らず、かといって相手の虚を突くでもなく、イーブンな条件で闘いを挑むあたり、男の美学すら感じさせてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

大挙襲ってくるチンピラをあらかた片付けるが、警官隊の生存者もラマのほか数人のみ。さらにラマには、衝撃の事実を知ったのちに、最強の殺し屋・マッドドッグとの最終決戦が待ち受ける。小汚い外見とは裏腹に、武器や小道具よりあくまで素手で決着をつけようとするマッドドッグの圧倒的なスピードとテクニックはこの映画のもう一つの見どころだ。ラマを演じるイコ・ウワイスをはじめ、主要登場人物が驚異的な身体能力で危険なスタントにチャレンジし続けるサービス精神と、変に感傷的にならずひたすら活劇に徹した演出の潔さに、最後までスクリーンにくぎ付けになってしまった。

オススメ度 ★★★★

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