こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バイオハザードV:リトリビューション

otello2012-09-18

バイオハザードV:リトリビューション
RESIDENT EVIL:RETRIBUTION

監督 ポール・W・S・アンダーソン
出演 ミラ・ジョヴォヴィッチ/ミシェル・ロドリゲス/シエンナ・ギロリー/ケヴィン・デュランド/中島美嘉
ナンバー 230
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

人間の生き血を求めて襲いかかる大量のゾンビ“アンデッド”を容赦なくぶち殺していく、それが「バイオハザード」のお約束だったが、今回は高度なサバイバル能力を備えた人間とクローンが敵。ただ衆を頼み噛みつくしか能のないアンデッドの殺戮場面を抑えたことでより戦闘シーンが洗練された。物語は旧ソ連の潜水艦基地に作られた広大な模倣都市を舞台に、次々と襲撃してくる攻撃部隊を退けながら脱出を図るヒロインたちを描く。一か所クリアするとさらに困難な次のステージに移動する構成はもはや映画というよりロールプレイングゲーム。3Dで表現された壮絶なアクションは“飛び出し感”にあふれ、思わずのけぞるほどの迫力で視覚的には大いに楽しめた。

アンブレラ社の秘密基地に監禁されたアリスを救出するために特殊部隊が派遣される。制限時間は二時間、独房を抜け出したアリスはエイダの協力を得、東京やNYの街並みを模した空間で待ち受けるジル率いる追撃隊をかわしながら合流地点に向かう。

その過程で、アリスたちはクローン製造工場を通過、彼女を母と呼ぶクローンの少女と出会う。別の模倣都市では別のクローンが別の人生を歩んでいる、まさにパラレルワールドを横切りながらアリスは目の前の敵を倒していく。もともとこのシリーズにストーリーの整合性や思想を欲張るのは野暮なのだろう。追及するのは、いかに仮想空間でのバトルをリアルに体感させるか。ここではレントゲン写真風の映像で骨が破壊されるカットを挿入して痛みを再現するなど、随所に工夫が見られた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いまやウェスカーは端役で、アリスはアンブレラ社の人工知能・レッドクィーンの人類抹殺計画と戦っている。また人間のクローンも現れ、本人も敵も味方も何度死んでも記憶を植え付ければすぐに再生できる設定は便利で万能。作品世界自体がテクノロジーの奴隷となっていくなか、アリスの母性本能だけが人間臭い感情だった。もしかして次回作はクローン対人工知能の戦いになるのかも。ますますアンデッドの出番は少なくなるな。。。

オススメ度 ★★*

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