こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アルゴ 

otello2012-09-27

アルゴ ARGO

監督 ベン・アフレック
出演 ベン・アフレック/アラン・アーキン/ブライアン・クランストン/ジョン・グッドマン/ケリー・ビシェ/カイル・チャンドラー
ナンバー 234
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

一つ間違えれば自分の命だけでは済まない。絶体絶命の危機の中に身を投じ平然と嘘をつきとおす度胸を持つ男は、身体能力や銃器に頼るのではなく、アイデアと機転で同朋を救い出す。その、あまりにも突飛な作戦は味方ですら成功するとは思わないほど、ゆえに敵は見事に欺かれる。作品は革命直後のテヘランで孤立した米国人を無事イラン国外に逃がすために送り込まれた工作員の活躍を再現する。派手さはないがユーモラス、アクションはないがスリリング、そして何よりイメージで物語を紡ぐ“映画”というメディアの力をあらためて見せつけられた。

'79年、イラン革命防衛隊に占拠された米国大使館から抜け出した6人の職員はカナダ大使の私邸に匿われる。逃亡がばれると処刑されると知った米国務省とCIAは人質奪還のスペシャリスト・トニーに彼らの救出を命じる。

トニーは彼らを映画のロケハン隊に偽装して出国させる計画を立案する。実際に脚本を買い、製作発表を行い、いかにも大作映画のプトジェクトが胎動とまず米国内でプロパガンダを打つ。その後イランに入国、6人に徹底的に偽の身分を覚えこませる。ヒゲ面のもっさりした外見でトニーの“切れ者”ぶりをカムフラージュする一方、ハリウッドの虚栄とCIA上層部の官僚体質を暴き出し、現場で苦労する工作員と対比させる構成が小気味よい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、上司から突然の中止命令が下る。しかしトニーは「決して見捨てない」と約束した以上、独断で脱出を決行し、職員らと共に空港に向かう。そこからはチェックインカウンター、出国審査、搭乗口と、極限にまで高まったトニーと職員たちの不安と緊張、革命防衛隊が6人の不在に気づき空港まで追ってくる姿、CIA内での駆け引きを同時進行で描き、更なるテンションを盛り上げる。あえてヒロイズムを避け、シリアスなのにどこかとぼけた味わいを残すところに好感が持てた。

オススメ度 ★★★*

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