こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エージェント・マロリー

otello2012-10-01

エージェント・マロリー HAYWIRE

監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ジーナ・カラーノ/マイケル・ファスベンダー/ユアン・マクレガー/ビル・パクストン/チャニング・テイタム/マチュー・カソヴィッツ/マイケル・アンガラノ/アントニオ・バンデラス/マイケル・ダグラス
ナンバー 240
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

屈強な男たちに殴られ蹴られ羽交い絞めにされ馬乗りになってまたボコボコに殴られても、決して怯まない。不利な体勢から手足を絡ませ関節をきめ、ひじ打ちをかまして延髄切りで反撃する女。映画は、アザだらけ傷だらけになりながらも、あくまで素手でのファイトを貫くヒロインの圧倒的なテクニックとタフネスを再現する。鍛え上げられた頑丈な肉体と洗練された技の数々はまさしくプロ格闘家がもつ本物の迫力、しなやかで無駄のない体の使い方が鍛錬にかけた年月の長さを物語る。しかし、彼女のアクションのリアルさにこだわるあまり、かなりの体格差のある訓練された男たちをハンディなしで倒してしまうという、格闘シーンそのものにリアリティがなくなる矛盾を抱えてしまった。

元同僚のアーロンにいきなり襲われた民間のスパイ・マロリーは、逆に彼を撃退し、居合わせた青年のクルマで逃走する。道中、マロリーは青年に、バルセロナとダブリンでのミッションを話して聞かせる。

バルセロナでの中国人救出指令を全うしたマロリーは、上司で元恋人のケネスにすぐダブリンに行けと命じられる。そこで中国人の死体を発見、その上パートナー役の殺し屋に不意を突かれる。仕組まれた罠、裏切りと欺瞞、誰を信用すべきで、何を疑うべきか。マロリーは生存本能をフル稼働して、敵意に満ちた街を駆け抜け屋根を伝い外壁を飛び降り追ってくる武装警官を一人ずつ排除していく。それらの全力疾走は「ボーン」「ボンド」「イーサン」などと大同小異だが、銃器弾薬に頼らずカタをつけようとするマロリーのスタイルは非常に小気味よい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、無名の新人女優が並み居るハリウッドスターをぶちのめしていくところが見どころなのは理解できるが、せめて使い捨てにされる殺し屋の悲哀が描かれていればマロリーに共感できたのだが。それにしてもヒゲモジジャのオッサンがアントニオ・バンデラスだとはラストシーンまで気付かなかった。もしかして、これがこの作品の“仕掛け”だったのか。。。

オススメ度 ★★*

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