こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ロックアウト

otello2012-10-16

ロックアウト LOCKOUT

監督 ステファン・サン・レジェ / ジェームズ・マザー
出演 ガイ・ピアース/マギー・グレイス
ナンバー 253
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

どんなに危機的な状況でもジョークを絶やさず、勇気と機転と行動力と抜群の身体能力でピンチを切り抜ける。女にも厳しいが責任感は強く友情にも篤い、腕はたつが強烈な皮肉屋でもある。そんなハードボイルドな香りを濃厚に放つ男をガイ・ピアースが熱演。約70年後の米国が舞台なのに、タバコをくわえジッポのライターを愛用する時代錯誤的なヒーロー像が新鮮だ。物語は人工衛星軌道に作られた隔離施設からVIPを救出する任務を負った主人公の奮闘を描く。粗暴な悪党500人近くを一人で相手にしなければならないにもかかわらず、命がけのスリルを楽しむ姿がクールだ。

大統領の娘・エミリーは囚人を冬眠状態にして収容する宇宙監獄・MS-1の視察に訪れるが、反乱を起こした凶悪犯のハイデルとその兄・アレックスに人質にされる。彼女の保護を命じられた元CIAエージェント・スノーは単身MS-1に潜入、次々と封鎖を破っていく。

ブリーフケースを奪ったスノーが重武装の警官隊から逃げ回るシーンは、あえてリアルの逆をいく人工風CGの中をバイクで疾走させ、レトロな味わいを見せる。他方、スマホや拳銃、地下鉄といった小道具はあまり現代から進歩しておらず、また米大統領執務室が地下にあるなど、それら現在と未来が混然とした独特の世界観は、もはや経済的成長は望めなくなった上に犯罪の増加に苦慮する米国社会を象徴しているようだ。その後、MS-1内部では、スノーが囚人たちを一蹴、エミリーとブリーフケースのありかを知る友人を見つける。だが、もともと眠っていたとはいえ囚人の人数は圧倒的、統率がとれていない烏合の衆ではあるが元凶暴犯ゆえ一つ間違えれば暴走しかねない予兆が緊張感を醸し出す。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてスノーとエミリーは無事脱出ポッドに到達するが、定員は1人だけ。エミリーは自らの義務に目覚めスノーと戦う道を選ぶ一方、政府はMS-1の破壊を決定する。見捨てられた彼らが取った手段には半ばあきれつつも、こんなアホなアイデアを映像化するクリエーターの度胸に妙に感心した。。。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓