こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

4:44 地球最期の日

otello2012-10-17

4:44 地球最期の日 4:44 LAST DAY ON EARTH

監督 アベルフェラーラ
出演 ウィレム・デフォー/シャニン・リー/ポール・ヒップ
ナンバー 255
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

あと十数時間で地球は滅亡する。運命から逃れる術はなく、人類はただその時を待つばかり。もはやすべきことはすべてした、いまさらジタバタしても未来は変えられない、絶望に打ちひしがれていては今までの自分を否定する結果になる。ゆえにほとんどの市民は普段通りの日常を送りつつタイムリミットを迎えようとする。セックスと痴話げんか、友人との他愛ない会話、映画はそんな大した出来事が起こらない“地球最期の日”を描き、数多ある“終末映画”とは一線を画す。だが、そこに高邁な理想や愛、諦観についての考察といった人間ならではの感情や思考があるわけではなく、また破滅の瞬間に対する緊張感もない。いったい何のためにこんな作品を作ったのか理解に苦しむ。

オゾン層崩壊が翌日の未明に迫ったある日、NYのアパートに住むシスコとスカイは、愛し合い、絵画を完成させ、親しい友人や家族に別れを告げる。TVでは祈りを捧げる者、説教する者、そして予言を的中させたアル・ゴアがそれぞれの思いを口にする。

パーティを開く友人たち、離婚した妻子、離れて暮らす母、シスコとスカイはスカイプを使って連絡を取る。故郷にいる家族と一目会いたがっているデリバリーのベトナム人にもスカイプを貸してやる。米国では固定電話の代わりにスカイプを使うのが一般的になっているのだろう、すぐには会えない人とも顔を合わせて会話ができる便利さが人の絆を強くするとあらためて認識した。しかし、大した用事でもないのに顔を見て話さなければならならないのはかえってストレスがたまるような気がするが。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてオゾン層に変化が現れ始め、NYの空にもオーロラが輝きだす。その美しさの中でシスコとスカイは息絶えていくのかと期待したが、ぬる〜い映像が続くだけ。どうせなら物語の舞台をアパートの室内に限定して、シスコとスカイのセリフのみで成り立つ二人芝居といった実験的な手法を用いるくらいの冒険をしてほしかった。

オススメ度 ★*

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