こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シャドー・チェイサー

otello2012-10-29

シャドー・チェイサー THE COLD LIGHT OF DAY

監督 マブルク・エル・メクリ
出演 ヘンリー・カヴィル/シガーニー・ウィーヴァー/ブルース・ウィリス/ヴェロニカ・エチェギ/ロシュディ・ゼム/ジョゼフ・マウル/ラフィ・ガヴロン
ナンバー 265
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

家族が突然姿を消し、得体の知れない組織に銃撃される。何が起きているのかわからない、誰に追われているのか見当もつかない。じっとしていると死が待ち受けているのは確か。頼れるのは己の生存本能だけ、ひたすら走り続けるしかない。カメラは、予期せぬ危険に巻き込まれた男に寄り添い、彼の驚きと困惑とサバイバルをリアルに再現する。そして状況が呑み込めたとき、“素人”ならではの無鉄砲さで、プロの工作員たちを相手に堂々と渡り合う。謎が新たな謎を呼ぶたたみかけるような展開、先を読ませぬ二重三重の偽装と欺瞞の中で、主人公は信じられるものをみつけていく。

スペインの景勝地で久しぶりに両親と弟、その恋人と休暇を過ごすウィル。クルージング中に一家全員が失踪し警察に駆け込むが、なぜか拘束されかけ、危ういところを父のマーティンに救われる。マーティンはCIAエージェントの身分を明かし、同僚のキャラックに連絡を取るがウィルの目の前で射殺されてしまう。

自分がまったく聞かされていなかった父の正体に驚愕するウィル。しかもキャラックに裏切り者扱いされた上、身元不明の電話には“トム”と呼ばれている。さらに妹の存在まで明らかになるなど、あまりにも多くの耳を疑う情報が一気にウィルの前に押し寄せる。もはや味方と敵の区別はつかず、殺そうとするヤツが敵で、とりあえず殺そうとしないヤツを信用するしかない。そんな絶体絶命の窮地の連続の中で、ウィルは勇気と行動力を身に付けていく。その過程でもっとマーティンへの複雑な思いを描きこんでほしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

たしかにストーリーはミステリアスで、次々と提示される新事実は考える暇を与えないほど凝縮されている。ただ、銃を持った殺し屋から逃げるために街を疾走し、アパートの屋上から飛び降り、バイクで激走するシーンは新鮮味に乏しい既視感のあるアクションに終始し、クライマックスのカーチェイスも大味で緊迫感に欠ける。シガ二―・ウィーバーの悪党ぶりは新鮮だったが。。。

オススメ度 ★★*

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