こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ルーパー LOOPER

otello2012-11-24

ルーパー LOOPER

監督 ライアン・ジョンソン
出演 ブルース・ウィリス/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/エミリー・ブラント/パイパー・ペラーボ/ジェフ・ダニエルズ/ポール・ダノ
ナンバー 288
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

30年後の自分にかける言葉が見つからない、殺すべき相手だから。30年前の自分にどう説明してよいか分からない、相手の考えが読めるから。目の前に年齢の違う別人格の自分がいる、分かち難い絆を感じつつも敵である居心地の悪さも入り混じる2人がテーブルをはさんで対峙するシーンは、お互いの腹の内を探り合いながらも困惑と不安が凝縮され、毒を含んだ緊張感は破裂しそうなほどの高まりを見せる。映画は、過去に手を加えんと未来からやってきた男がその時代の自分自身に銃を向けられるというユニークなアイデアを、スピード感あふれるアクションと意表を突く展開でスリリングな映像に昇華していた。

未来の犯罪組織がタイムマシンで送りこんでくる人間を射殺する処刑人・ジョーのもとに、ある日、30年後のジョーが現れる。一瞬のスキを見て老ジョーが逃げ、ジョーは元締めに追われる羽目になる。

ほどなく2人は合流し、ジョーは老ジョーからレインメーカーという謎の人物の抹殺が目的と告げられる。そして老ジョーはレインメーカーの候補者を探すために姿を消し、ジョーも候補者のひとりにたどり着く。その間ジョーは、なぜ生まれ生きてきたのかと自らのアイデンティティを問い続ける。一方ですでに老ジョーは運命に抗う決意を固めている。2人の間に横たわる成熟の差は、「愛」を知っているか否か。人類の文明はピークを過ぎたのではと思わせる2044年の荒廃した街並みがジョーの心を象徴していたが、彼が農家の母子と出会い、守るものができる過程は、他人とのふれあいが孤独を癒し人生を豊かにしてくれることを教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジョーが年齢を重ねるうちに美しい女と恋に落ち、老ジョーはその時の思いをジョーに伝える。未来を変えてはいけない、それでも災厄の原因を知ってしまった以上、止めなければならない。老ジョーが命がけでジョーに伝えたかったのは愛と自己犠牲なのだ。

オススメ度 ★★★*

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