こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アウトロー

otello2012-12-19

アウトロー JACK REACHER

監督 クリストファー・マッカリー
出演 トム・クルーズ/ロザムンド・パイク/リチャード・ジェンキンス/デヴィッド・オイェロウォ/ヴェルナー・ヘルツォーク/ロバート・デュヴァル
ナンバー 308
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

誰かが名前を口にしただけでどこからともなく忽然と現れる。その足跡は一切記録されず、存在すら疑われるゴーストのような男。警察も検察も一点の疑いもなく犯人と信じる容疑者の無実を証明するために単身調査を進めていく。捜査員でもない、探偵でもない、強靭な肉体と驚異的な洞察力で物事の真実を見極めていく姿は、スーパーヒーローではないが“ただ者ではない”雰囲気を強烈に醸し出す。そんなユニークな主人公にトム・クルーズが挑む。完璧な強さや絵空事の大活躍とは一線を画し、あくまで地味な聞き込みでディテールを積み重ねて事件の全貌を明らかにしていく過程はスリリングでミステリアスだ。

5人が犠牲になった銃乱射事件で元狙撃兵・バーが逮捕されるが、バーはジャック・リーチャーと書きしるしたまま瀕死の重傷を負う。弁護士のヘレンは真犯人が別にいると推論するジャックを信じられないが、罠にはめられそうになったジャックは確信を深めていく。

現場に残された過剰な証拠から、背後に黒幕がいると気づいたジャック。チンピラをぶちのめし正体不明の男たちとカーチェイスや銃撃戦を繰り広げるが、トム・クルーズがかつて演じてきた“オレ様感”あふれるキャラクターとは違い、殴られて失神し、追い詰められて息が上がり、急停車してエンストする。あえてジャックに“もたつき感”を持たせて緊張感を盛り上がるが、一方でいざという時は一撃必殺の切れ味も見せるなど、予想とは少し違うが期待通りの活躍はする。ジャックのキャラクターが定着し理解されるまでにはまだ時間がかかりそうだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてジャックは射撃場への聞き込みから真犯人を特定、さらに恐るべき真相にも迫っていく。そこでも21世紀のテクノロジーには頼らず、銃とナイフとクルマといった20世紀的なスタイルを貫き通す。当然映画自体もVFXに頼ることなく、今や忘れ去れてしまったハードボイルドの香りすら漂わせている。今回はジャックのお披露目といったところだが、このスタイルは変えないでほしい。。。

オススメ度 ★★★

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