こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝

otello2013-01-14

ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝 龍門飛甲

監督 ツイ・ハーク
出演 ジェット・リー/ジョウ・シュン/チェン・クン/リー・ユーチュン/グイ・ルンメイ/メイビス・ファン/リュー・チャーフィー
ナンバー 9
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

巨大な軍船が接岸した港湾基地の壮大な光景は吸い込まれるような奥行きを持ち、剣、矢、丸太、手裏剣、鎖から仕掛け糸までさまざまな武器がスクリーンから飛び出してくる。さらに天空を覆う砂嵐はまるでその中にいる感覚を体感させてくれる。まさに3D視覚的効果の集大成といった映像は圧倒的スケールで客席に迫る。善人悪人俗物傑物剣客盗賊男女宦官漢韃靼が竜巻でシャッフルされたバラエティ豊かな登場人物、偶然と必然が激突し裏切りと欺瞞が表裏一体の二転三転する展開、空を飛び宙を舞いながら繰り広げられる剣戟をはじめとしたあらゆるアクションは、もはや武侠映画における満漢全席の趣だ、舞台は明代だが。

皇帝の子を身ごもって後宮から脱走したスーを救った女侠客・リンは辺境の宿屋・龍門に逃げる。悪政はびこる世を正そうとする義士・ジャオは情報機関・西廠の督主・ユーに挑むが決着がつかず、龍門に流れていく。龍門には地下に眠る財宝を掘り起こそうとする一団が60年に一度の大嵐を待ちわびていた。

ジャオとリン以外はみな腹に一物持っていそうな連中ばかり。マカロニウエスタンを思わせる砂塵舞う荒涼たる風景が胡散臭さを煽り立てる。特に韃靼の女王に扮したグン・ルンメイがエキゾチックな魅力を発散し、彼女が操る円形の剣と相まって異彩を放っていた。信用すべきか否か、ジャオとリンにとって彼らは味方にすればユーの配下と互する戦力となるが、敵に回すと命を落としかねない存在。誰にも心許せない状態で、とりあえず利害の一致した者同士が手を組む危うさが緊張感を加速させていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、ユーの本隊が龍門に到着、ジャオとユーが一騎打ちしている間に地下宮殿が姿を現したかと思うとまた財宝を巡って虚々実々の駆け引きが始まる。全編、ストーリー上の細かい矛盾を忘れさせる押し出し感に満ち、ハリウッドでは絶対やらないような突飛なアイデアのワイヤアクションにあふれ、いかにも中国人が好みそうな過剰な装飾が施された作品だった。

オススメ度 ★★*

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