こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴーストライダー2

otello2013-01-17

ゴーストライダー2
GHOST RIDER: SPIRIT OF VENGEANCE

監督 マーク・ネヴェルダイン/ブライアン・テイラー
出演 ニコラス・ケイジ/イドリス・エルバ/ヴィオランテ・プラシド/キアラン・ハインズ/クリストファー・ランバート
ナンバー 279
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

轟音と共にどこからともなく現れる燃える頭蓋骨のライダーは、灼熱の鎖を振り回して悪党どもを焼き殺す。もはや人間だった時の理性は失われ、怒りと憎しみを制御できない殺戮の権化となった男が背負うのは、自らの内面に悪魔を宿しながらも更なる邪悪な者たちに立ち向かう運命。映画は、そんな主人公の葛藤を通じ、大いなる力を持ちながらもそれを自在に使いこなせない苦悩を描く。刃物や銃弾程度の攻撃にはびくともしないが、ロケット弾や対戦車砲だとぶっ飛ばされる実体としての彼は存在感たっぷりだ。

悪魔との契約で生まれた子・ダニーの体を狙うロアークは、傭兵のキャリガンを使って彼の拉致を試みる。聖職者からダニー母子の保護を依頼されたバイク乗りのジョニーはゴーストライダーとなって2人の救出に向かう。

セキュリティが行き届いた要塞のごとき城に匿われたダニー母子を傭兵部隊が奪いに来るプロローグが手に汗握る。狭い通路や階段の踊り場、目もくらむ高さの外壁。逃げまどうる母子、追う傭兵、助けようとする僧侶を、高低差を利用したスピードとめまぐるしく方向転換するカメラワークでダニーたちの体感する危険を皮膚感覚で再現する。一方、ゴーストライダーとなったジョニーの闘いは炎の熱さと鉄の重量感にあふれ、罪深い人々を煉獄の業火で焼きつくすよう。この、人間とダークヒーローのアクションの質の違いに作品の世界観が投影されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてロアークはダニーの肉体を乗っ取るべく儀式を始めるが、そこにゴーストライダーが登場、己にかけられた呪いを解かんとロアークに最終決戦を挑む。ただ、ジョニーのバイクテクニックもゴーストライダーの人間離れした能力も、今回はイマイチ発揮されないまま。東欧からトルコに至る壮大だが奇矯な風景は悪魔や地獄のイメージにぴったりと合致していたが、ロケゆえの撮影条件の制限なのか、弾けた面白さには達していなかった。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓