こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

オズ はじまりの戦い

otello2013-03-12

オズ はじまりの戦い OZ:THE GREAT AND POWERFUL

監督 サム・ライミ
出演 ジェームズ・フランコ/ミラ・クニス/レイチェル・ワイズ/ミシェル・ウィリアムズ/ジョーイ・キング
ナンバー 60
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

我こそは偉大と信じ、傲慢さを隠そうとしないマジシャンは、人をだまし驚かせるテクニックには長けていても決して感動させることはできない。だが、そんな男でも他者と助け合い友情と信頼を結んでいくうちに己が何者で何をすべきかに目覚めていく。映画は“オズの魔法使”がいかにして民衆から慕われる王になったかを描く。魔法の国の予言に導かれた冒険の過程で、戦いの準備中に“知恵”を、実際に行動に移して“勇気”を、そして共に立ち上がった同志を思いやる“心”を身に着けていく。目を見張るファンタジックな世界は、ジュディ・ガーランドが飛び出してきてもおかしくないほどのいろどりに満ちていた。

サーカスの奇術師・オズは気球に乗っているところを竜巻に巻き込まれ、魔法の国に不時着する。美しい魔女・セオドラに予言の王と勘違いされたオズはエメラルドシティの宮殿に招かれ、セオドラの姉・エヴァノラに“悪い魔女”・グリンダの杖を折って来いと頼まれる。

オズが道中命を助けたサルと陶器の少女が表情豊かで楽しませてくれる。オズ以上にわがままで扱いにくいところもあるが、行き場のない彼らを放っておけない。カンザスにいたころのオズならば虫けら並みに扱ったはずなのに、いつのまにかオズは彼らを旅の仲間に迎え入れている。ひとりひとりの力は小さくても、力を合わせればできなかったことができるようになると学んでいくのだ。もちろん損得勘定も抜け目なくしているが、それ以上に自分を必要とする他人のために一肌脱ごうとする姿がオズの成長を物語る。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

グリンダから真実を聞かされたオズは、魔法の国を救うために自らのマジシャンとしての知識とスキルを総動員して、種も仕掛けもあるマジックを壮大な魔法に見せかける作戦を立てる。あくまでこけおどしのトリックにもかかわらず、魔法の国の人々の心を惑わせる効果は絶大。特に煙の中に自身の顔を大写しするシーンは、「映像の持つ力」がどれほど影響力を持つかを改めて思い知らされた。

オススメ度 ★★*

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