こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

容疑者X 天才数学者のアリバイ

otello2013-03-14

容疑者X 天才数学者のアリバイ

監督 パン・ウンジン
出演 イ・ヨウォン/リュ・スンボム/チョ・ジヌン/クァク・ミノ/キム・ボラ
ナンバー 48
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

あらゆる事象は数学で説明できると信じる男は、己の胸に芽生えた“恋”という感情に対しても論理と計算をあてはめようとする。ただ、挨拶を交わすだけの相手、それでも自分に示してくれた小さな気づかいが他者との交流を避けて暮らしてきた彼の心に波紋を起こす。そして、彼女が人殺しになったとき、男の頭脳は高速回転を始め、警察さえ見破れないトリックを考え付く。物語は東野圭吾の原作にアレンジを加え、数学的見地から他人の思考や行動はある程度予測可能でも、“愛”が絡んだ不確実な結果まで予想できるかを問う。犯人は被害者でもあり真相を解明しても誰も喜ばない、そんな犯罪を生みだす人間の性が哀しい。

高校の数学教師・ソッコは隣人のファソンに密かに思いを寄せていて、彼女が勤務する弁当屋に行くのが日課。ある日、ファソンと姪のユナが、訪ねてきた元夫を絞殺、事情を知ったソッコは彼女たちのアリバイ作りに協力する。

元夫と思われる男の死体が発見されると当然ファソンが容疑者としてミンボン刑事にマークされる。しかし、ソッコの計画通りに動いたファソンのアリバイは完璧。にもかかわらずミンボンはファソンを執拗に追いかける。さらにソッコとミンボンが高校の同級生で、旧交を温めるうちにミンボンはソッコの事件への関与に気づく。果たしてソッコはファソンを守ることで彼女の愛を得られると思ったのだろうか。新たにファソンの前に現れたイケメン男に嫉妬するソッコに、自己完結した数学の世界で生きてきた彼の孤独が凝縮されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

映画は、原作の数学者対物理学者の構図を捨て、ソッコの頭脳対ミンボンの執念にスポットをあてる。ソッコはミンボンの目が我が身に向くように仕向け、ファソンの幸せを願ってすべての罪を被ろうとする。ところがそこに至るまでの、ミンボンがファソンのアリバイを疑い続ける根拠に乏しいのが残念。たとえばメモ用紙などの伏線をもう少し早く見せていればスッキリと納得できたのだが。。。

オススメ度 ★★*

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