こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

殺人の告白

otello2013-04-09

殺人の告白

監督 チョン・ビョンギル
出演 パク・シフ/チョン・ジェヨン/チョン・ヘギュン/キム・ヨンエ/チェ・ウォンヨン
ナンバー 79
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

時効が成立した連続殺人事件の犯人を自称する男が告白録を出版、イケメンの著者はたちまち時代の寵児になり、ベストセラーに書名を連ねる。事件を担当した刑事はもはや手出しができず、犯人はますます増長するばかり。法の裁きが及ばない場所に逃げ込んだ犯人を浅薄な大衆はヒーローに祭り上げる。さらに彼を狙う遺族、犯人の安全を守らなければならない警察のジレンマ、刑事の執念を絡ませ、映画は畳み掛けるようなアクションとともに予期せぬ結末になだれ込む。殴り合い取っ組み合いながら篠突く雨降る夜の街を全力で駆け抜けるプロローグは緊迫感にあふれ、暴走車のボンネットやルーフの上での格闘劇はスリリング、ダイナミックなカメラワークが息つく暇も与えない疾走感を生んでいる。

連続殺人事件の容疑者に顔を切られた上取り逃がした刑事・ヒョング。2年後、ドゥソクという若者が犯行の詳細を記した本を上梓、その内容が社会に衝撃をもたらす。一方、遺族グループは毒蛇にかまれたドゥソクを偽装した救急車で誘拐する。

あれほど憎み、己の手で殺してやりたいと願った犯人なのに、拉致されれば命がけで救出に向う。だがヒョングは誘拐犯の逮捕よりもドゥソクの身柄の奪還に専念する。しかもドゥソクとの公開討論では真犯人は別にいるとドゥソクを詐欺師呼ばわりまでする。そのあたりのヒョングの刑事らしからぬ行動に、この件にはどこか裏がありそうだと匂わせつつ、物語は一気に加速する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

TV局が企画した公開討論会出演中に、我こそは真犯人と名乗る男・Jが登場、証拠ビデオとナイフを提示する。メディアを利用した劇場型犯罪で自分に注目を集めようとする歪んだ犯罪者の精神がいかにも現代風だ。そして、ドゥソクはいったい何者なのか、ヒョングの真の狙いはどこにあるのか、二人の過去が明らかになる過程で二転三転する展開は最後まで息が抜けなかった。ただ、遺族グループがドゥソクを殺しかねない危険性をヒョングは考えなかったのだろうか、そこが疑問に残る。。。

オススメ度 ★★★

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