こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブルーノのしあわせガイド

otello2013-04-18

ブルーノのしあわせガイド Scialla!

監督 フランチェスコ・ブルーニ
出演 ファブリッツィオ・べンティヴォリオ/バルボラ・ボブローヴァ/ヴィニーチョ・マルキオーニ/フィリッポ・シッキターノ
ナンバー 91
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自分が何者であるかわからずただ大人への反抗的な態度で存在を示そうとする少年は、最大の理解者である母の長期出張を機に己を見つめ直さねばならなくなる。そこで行動には責任が伴い、身勝手な振る舞いはいつかわが身に返ってくることを学んでいく。物語はそんな少年を預かり共に暮らすハメになった男が、何とか彼を更生させようと奮闘する姿を描く。根っからのワルではない、愛され方が偏っていただけ。勉強ができないわけではない、楽しさを知らなかっただけ。より良き生き方を伝授する立場になった男もまた自らの過去を見直し、少年に未来を託そうとする。見知らぬ同士だった父と息子なのに、キュウリ嫌いがしっかり遺伝しているのが微笑ましかった。

伝記作家のブルーノは、アルバイトで補習授業をしている生徒・ルカの面倒を見てくれと彼の母親に頼まれる。実はルカはブルーノの子と知らされ、ブルーノはしぶしぶ引き受ける。しかし、ルカの生活習慣は改まらず学校では落第の危機に陥る。

ルカの素行不良が父親不在の環境で育ったせいと自覚してはいるが、どう接していいのかわからない。学校の補習ではない、人生の補習。子育ての経験がないブルーノは手探りでルカへの対応を考える必要に迫られる。そのあたり、実の父子なのにどこかよそよそしい2人が距離感を徐々に縮めていくプロセスがあくまでコミカルで、“愛”を押し売りしたり深刻ぶったりせず、軽妙な姿勢を貫くところが好ましい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて不良仲間に誘われるままにドラッグに手を出したルカ。サボりや夜遊びならば大目に見ていたブルーノも、犯罪に手を染める前にルカを救い出したい。そこでも絶体絶命のピンチに不思議な縁で救われたりと、いかにもイタリア映画らしい楽天的な展開。そして、ルカはブルーノを父親と認め、自ら落第を受け入れ、もう一度やり直そうとする。ブルーノも家族を持つ幸せとそれに伴う親の義務を感じる。予定調和的なハッピーエンドも心地よかった。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓