こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エンド・オブ・ホワイトハウス

otello2013-04-25

エンド・オブ・ホワイトハウス OLYMPUS HAS FALLEN

監督 アントワン・フークア
出演 ジェラルド・バトラー/モーガン・フリーマン/ラダ・ミッチェル/アーロン・エッカート/アシュレイ・ジャッド/アンジェラ・バセット/メリッサ・レオ/リック・ユーン
ナンバー 97
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自爆を厭わない高度な訓練を受けたテロリストが40人もいれば米国を乗っ取れる。警備は厳重とはいえ軍隊が常駐しているわけではなく、重火器で武装した精鋭部隊に対してシークレットサービスはほとんど無力。大統領と「核ボタンコード」を持つ数人の首脳を人質にとれば米国、いや全世界を手中に収められるのだ。物語は北朝鮮系のテロリストに占拠されたホワイトハウスで元護衛官が孤軍奮闘、彼の“ダイ・ハード”的な活躍を描く。トリガーを引くのに躊躇せず、頭を狙って確実に1発で仕留める。その非情さこそ、己の命よりも価値のある大義に身をささげた男女の鋼鉄の意志。ボストン爆弾テロの記憶も生々しい今、米国の“自由”を逆手に取る作戦がリアルだ。

ワシントンD.C.上空に未確認輸送機が侵入、街中に機銃掃射する。同時に観光客を装ったテロリスト集団がホワイトハウスに突入、十数分で制圧し大統領の身柄を抑える。かつてシークレットサービスだったマイクはホワイトハウスに飛び込み銃を抜く。

他の護衛官は全滅、武器を扱えるのはマイクひとり。完全に急所を押えられた米国政府は下院議長を大統領代理に据え、マイクに一縷の希望を託す。正確無比な射撃と洗練された格闘術、内部構造を知り尽くした建物内で1人また1人と敵を倒していくマイク。一方でテロリストのリーダーは米軍の朝鮮半島と日本海からの撤退を要求。このあたりも北の指導者がミサイル危機を演出する現状のなか、非常なリアリティを持って迫ってくる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

輸送機の翼に触れ崩壊するオベリスク911を思い出させ、米国内にはいまだ正体をつかめていないテロリストがたくさん潜んでいる事実を象徴する。そして民主主義の中枢ともいえるホワイトハウスすら簡単に陥落する。こんなことが現実に起きるとは思えない、だがそれ以上に当局が過剰に反応し、市民生活が制限され、徹底した監視社会になるのではという懸念を抱かせる作品だった。

オススメ度 ★★★

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