こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

L.A. ギャング ストーリー

otello2013-05-06

L.A. ギャング ストーリー GANGSTER SQUAD

監督 ルーベン・フライシャー
出演 ジョシュ・ブローリン/ライアン・ゴズリング/ショーン・ペン/ニック・ノルティ/エマ・ストーン/ロバート・パトリック/マイケル・ペーニャ/ジョヴァンニ・リビシ/アンソニー・マッキー
ナンバー 107
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

街で悪事を働くのみならず、警察・検事・政治家にまで根を張りめぐらせ陰から大都会を支配しようとするギャングを一掃する。その目的のために結成された特命チームは、警官バッヂをはずし、身元不明の非合法な暗殺団として活動する。公のバックアップがない代わりに、容疑者の権利を保障する法に縛られず、悪党どもに容赦なく引き金を引けるのだ。第2次大戦直後のLA、物語はそんな命知らずの男たちの血みどろの活躍を追う。恐れを知らぬ女たらし、黒人街のナイフの名手、マシンガン全盛期に拳銃の腕前を誇る老刑事と彼の部下、そして通信技師。個性的な一匹狼をリクルートし大いなる敵に挑む過程は「七人の侍」を思わせる。ひとり少ないが。

コーエンを頂点とする犯罪組織を壊滅させるという市警本部長の密命を受けたオマラは、特殊技能を持つ独り身の警官たちに白羽の矢を立てる。集まったのはオマラを含めて6人、コーエンの屋敷に盗聴器を仕掛けて情報を得た彼らは、次々と資金源をつぶしていく。

苦痛極まりない凄惨なリンチ、銃弾飛び交う市街戦、躍動感あふれるカーチェイス、まだハイテク武装していない当時の、行き当たりばったりとも思えるオマラ指揮の捜査手法には、ある種の美学を感じる。戦場で死地を何度もくぐり抜けてきたオマラにとって抗争などなんともないのだろう。だが、コーエンの情婦と愛人関係になったジェリーは冷静で、オマラのやり方に不満を抑えきれない。それでも、ギャングに対する憎しみだけで結束する彼らの心意気には清々しさすら覚える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いや、彼らは暴力装置の機能を誰にも制限されずに発揮できる状態に、むしろ満足感を得ているよう。正義の名のもとに、市民生活を守るよりもギャングたちを血祭りに上げることに専念できる。もちろん一つ間違えれば死が待つが、それを顧みない勇気がある。顔を隠さず襲撃するなど現代とはあまりに違う手法が時代を感じさせ、映画自体もクラシカルな雰囲気を大切にしているところに好感が持てた。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓