こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

セレステ∞ジェシー

otello2013-05-28

セレステジェシー Celeste and Jesse Forever

監督 リー・トランド・クリーガー
出演 ラシダ・ジョーンズ/アンディ・サムバーグ/アリ・グレイナー/エリック・クリスチャン・オルセン/ロブ・ヒューベル
ナンバー 127
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

キャリアは順調、学生時代の親友と結婚もした。子供はいないが、それなりに満ち足りている。気がかりなのは、いまだ自立せず上昇志向のない夫。映画は順風満帆のヒロインが離婚に直面した時に覚える不満と不安、焦りと嫉妬を繊細だがコミカルなタッチで描く。ずっと主導権を握ってきたのにどうしようもないことがある。好きなだけではどうにもならないこともある。煮え切らないまま先延ばしにしてきたけれどいつかは決着を着けなければならない。そんな人生の転機を迎えた彼女の気持ちが愛おしい。

PR会社を経営するセレステはアーティスト志望の夫・ジェシーと離婚の予定だが、別れても親友同士でいたいと願っている。ある日、ジェシーがヴェロニカとデートすると知ったセレステは心が乱れ、ほかの男と出会おうとするがジェシー以上に気の合う男はいない。

カネを稼ぐ能力以外、あらゆる価値観が共通し、ふたりでいると会話は弾みケンカすら楽しいセレステジェシー。お互いに相手を一番理解してくれる理想の異性であるのは分かっている。セレステジェシーに“離婚”を突きつけたのも、もう少し現実に目を向けてほしかったからだろう。ところがジェシーは彼女の言葉に耳を貸さないばかりか、ヴェロニカの妊娠を機に彼女と結婚する。自分が変えられなかったジェシーを、一度寝ただけのヴェロニカに奪われセレステは深く傷ついたはず。それでも決して涙は見せない、泣き言も口にしない、強がりとも思えるセレステの姿は、女の甘えを捨てて生きる道を自らに課した女の悲哀がにじみ出ていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて正式に離婚が成立する。ジェシーは父親として新たな希望を見出しているのか、全く湿っぽさはない。別れ際でも冗談を言い合い、愛してると言ってキスまでする。ふたりとも本気で怒ったり悲しんだりはしない、それはなるべく感情的な温度を下げて本音をオブラートにくるむ現代の若者の処世術。でも、これでいいのかという疑問も残ったが。。。

オススメ度 ★★*

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