こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

華麗なるギャツビー

otello2013-06-17

華麗なるギャツビー THE GREAT GATSBY

監督 バズ・ラーマン
出演 レオナルド・ディカプリオ/トビー・マグワイア/キャリー・マリガン/ジョエル・エドガートン
ナンバー 146
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夜ごと繰り広げられる狂乱と喧騒の宴、紳士淑女は贅の限りを尽くした酒と音楽に身を浸し、歌い踊って享楽を消費する。それは主人公の虚栄に満ちた人生と同様、空疎なうたかた。嘘で固めた過去、叶わなかった恋、短期間で築いた巨万の富、自分の元を去った恋人に気付いて欲しい、その思いを伝えるために莫大な浪費を繰り返す。映画はそんな若き大富豪を間近で観察した作家志望の青年の目を通して描かれる。彼にとっては一度きりの一途な愛、移り気な女にとっては愛のひとつに過ぎない。緑の灯りに象徴される愛という幻想に溺れてしまった男の運命が哀しくも滑稽だ。

NY郊外に住むニックは、隣の豪邸に住むギャツビーからパーティに招かれる。豪華絢爛な屋敷に集う大勢の客の中、ニックは知り合いからパーティの目的を知らされる。それは対岸に住むかつての恋人・デイジーをパーティに招待することだった。

名家の息子の妻となっているデイジーは浮気性の夫とはうまくいっていない。ニックの仲介でギャツビーと引合されるとたちまち彼女の心にも火がつく。再会の日、あれほど自信満々に振る舞っていたギャツビーが、いざデイジーが現れると逃げ出しそうになる。その初心な行動が彼の純粋さを饒舌に語っていた。富も名誉も手に入れた、だがたった一つ手に入らなかったデイジー、最も大切な者の前では無力になってしまうギャツビーの人間的な弱さには共感を覚えた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

第一次大戦による欧州の荒廃で新たに“世界の首都”となった1922年当時のニューヨーク、繁栄のシンボルである摩天楼と成金階級の桁はずれの邸宅、上流階級のきらびやかなファッションは、独特の色彩感覚とカメラワークによって悪趣味なポップアート風の世界観に昇華される。そしてそこに身を置く人々は所詮カネの匂いに群がっているだけ。彼の葬儀とデイジーの反応がギャツビーの抱えていた孤独の深さを物語っていた。ただ、バズ・ラーマン監督作品の割には期待したほど映像のインパクトが得られず、3Dの効果もイマイチだった。。。

オススメ度 ★★*

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