こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フィギュアなあなた

otello2013-06-23

フィギュアなあなた

監督 石井隆
出演 柄本佑/佐々木心音/風間ルミ/桜木梨奈/間宮夕貴
ナンバー 152
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

女の豊満な肉体は男の劣情を煽り、ツキに見放された彼の日常を蝕んでいく。この女と一緒にいられるならどん底に落ちてもいい、いやむしろふたりきりでいられるのなら地獄でさえ心地よいと思えるほど女を愛してしまう。だが、彼女は精巧に作られたフィギュア、問いかけて答えるはずもなく、ただ感情のない視線を向けるだけ。映画は失業した若者が女子高生の等身大フィギュアを拾ったことから始まる奇妙な共同生活を描く。現実から目をそらし、失われた人生を取り戻そうとするうちに妄想の中でしか生きられなくなってしまった主人公の姿が切なく哀しい。

会社をリストラされた健太郎は女ヤクザに追われるうちに廃ビルに逃げ込む。そこで覚せい剤密売人に殺されかけるが、一体のフィギュアが動きだし健太郎を助ける。翌日、健太郎はフィギュアを自宅に持ち帰りココネと名付けて大切に扱う。

一方で、裸のボディを弄んだり服を着せてコスプレを楽しむ。さらに人間の触感と変わらぬ肌触りに、セックスを試みる。その過程でココネは徐々に意志を持ち始め、健太郎にとって理想の恋人になっていく。健太郎が創造したココネという人格は孤独と絶望の象徴のごとき孤高の美しさとリリシズムを放ち、彼の救われない心に束の間の潤いを与えていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、健太郎の魂の彷徨は冗漫なカットの連続で、カメラはココネを演じた佐々木心音の裸体をなめまわすばかりのお安い構成。不必要に露出される乳房、尻、陰毛に刺激に対する感受性は麻痺し、安っぽいヌードショーになってしまった。やはり、身に付けている下着を脱がすからこそエロティシズムを感じるのであり、最初からパンツをはいていないと“秘部をのぞき見る”期待感が持てないではないか。クライマックスでココネが宙を舞い踊るシーンなど、スカートの中でむき出しの下半身をいたずらにさらすのみで、性的興奮も芸術的インスピレーションも覚えない。俳優としての演技がほとんどできないグラビアタレントのために用意したシーンではと勘ぐってしまった。。。

オススメ度 ★★

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