こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アフター・アース

otello2013-06-24

アフター・アース AFTER EARTH

監督 M・ナイト・シャマラン
出演 ウィル・スミス/ジェイデン・スミス/イザベル・ファーマン/ゾーイ・クラヴィッツ
ナンバー 153
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

次々と襲い掛かる類人猿の群れ、毒ヒル、大ワシ、ジャガー。さらに異常な寒さが体力を奪っていく。未知の危険が潜む密林、過酷な環境をわずかな食料とたった一つの武器を手に少年はひたすら走り続ける。そして最大の敵は内なる恐怖心を察知する巨大な怪物。物語は未来の地球に不時着した特殊戦闘員候補生が軍人の父の指導の下で勇気と行動力と克己心を身に付けて成長していく姿を描く。優先すべきは任務か命令か、ひとつの判断ミスが命取りになる状況で、実戦を知らぬ彼は決断を迫られる。その過程で英雄だった父と一人前だと認められたい息子、2人の間に生まれた家族としての愛情と軍の規律の板挟みになる複雑な感情がリアルに再現される。

人類が異星に移住した1000年後、レイジ将軍と息子の訓練生・キタイを乗せた宇宙船は文明が崩壊した地球に墜落する。生存者は2人、大けがを負ったレイジは救難信号機を回収するために、キタイ1人をジャングルの中100キロ離れた落下地点に送り出す。

同時に人を殺すために開発された恐るべき生物・アーサも解き放たれ、キタイを待ち伏せしている。キタイはレイジに遠隔で指示を仰ぎながら獣道をゆくが、障害が多く計画通りには進まない。近道をしようと高い崖からジャンプするがたちまち大ワシに見つかって空中で襲撃される場面は、立体的な躍動感と目くるめくスピードに満ち溢れ、この作品いちばんの見せ場になっている。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、CGの出来栄えがあまり良くなく、アーサのカクカクした動きは20世紀末の映画を見ているよう。ジャガーの群れも薄っぺらいし。また、生還したキタイと救出されたレイジが再会したとき、敬礼をかわすのではなく抱擁したうえ、キタイが“ダッド”と呼ぶシーンには脱力した。精鋭部隊の兵士になりたいと望むならば、たとえ実の父子でもユニフォーム着用中はけじめをつけるべきではないのか。現代の軍隊とは考え方が違うのか? そもそも救難信号は遭難した時点で自動的に発信されるように設定しておくべきだと思うが。。。

オススメ度 ★★

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