こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

最後のマイ・ウェイ

otello2013-07-02

最後のマイ・ウェイ CLOCLO

監督 フローラン・エミリオ・シリ
出演 ジェレミー・レニエ/ブノワ・マジメル/モニカ・スカティーニ/サブリナ・セヴク/アナ・ジラルド/ジョセフィーヌ・ジャピ/モード・ジュレ
ナンバー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

傲慢で高慢、ワガママで女好き。だが、常に流行の一歩先を行くセンスとカリスマ性を備えている。そして、シナトラの“マイ・ウェイ”の原曲を作った男。カメラは1960〜70年代にかけてフランスのスーパーアイドルだったクロード・フランソワの短い生涯を追う。彼の名は寡聞にして知らなかったが、ネットで調べてみて驚いた。残されている数多くの肖像は映画の中のクロードそのもの。彼を演じたジェレミー・レニエはそれほどまでに役作りに徹し、ほぼ完璧にイメージを再現している。きっと、ステージで歌い踊る姿だけでなく私生活で見せる素顔も限りなく彼に近いはず。クロードの活躍を知る世代のフランス人は、本人が蘇ったような錯覚の中で青春時代に思いを馳せていたに違いない。

スエズで生まれ育ったクロードは動乱でモナコに避難するが、一家は極貧の生活を強いられる。そんな中、父の反対を押し切ってドラマーになったクロードは歌手もこなすようになり、パリに出て売り込みをかける。

ルックスに留意し、美容を欠かさず整形も厭わない。もちろんキレのあるダンスのために酒もたばこも嗜まなずハードなレッスンも自らに課していた。反面、性欲だけは全面開放して女を周囲に侍らせている。結婚して子供ができてもそのスタイルは変わらない、まさにビジュアル系アーティストを地で行くクロードの生き方はある種類型的でもある。一方で、本物のシナトラを目の前にしながら“自分がマイ・ウェイの作者だ”と名乗り出られない小心さも彼の人間らしさを物語っていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらに、年を重ねてもイメチェンを繰り返し、貪欲に新しさをとりいれつつ、自身のレーベルや出版社、モデル事務所などを次々と立ち上げていく。もはや苦言を呈するマネージャーもおらず裸の王様状態。それでももっと大きな夢にチャレンジする中、志はとん挫する。人生を振り返る歌詞に変えられてしまった“マイ・ウェイ”を英語で歌うクロードの気持ちはいかばかりか、そこが非常に気になった。。。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓