こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハングオーバー!!! 最後の反省会

otello2013-07-04

ハングオーバー!!! 最後の反省会 THE HANGOVER PART III

監督 トッド・フィリップス
出演 ブラッドリー・クーパー/エド・ヘルムズ/ザック・ガリフィアナキス/ケン・チョン/ヘザー・グレアム/ジャスティン・バーサ/ジョン・グッドマン
ナンバー 163
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

酒もクスリもやっていないのに前2作以上にヤバイ、もはや後戻りできない状況に追い込まれた男たちはまたもや奇想天外な方法で窮地を脱しようとする。大切なのは友情と信頼、それをなくせば誰であろうと命を落としかねない。映画は人質に取られた親友を救うために金塊強奪犯を探す3人が、再びラスベガスで大暴れする姿を描く。警戒厳重な刑務所からの脱獄、キリンの首が引き起こす玉突き事故など、冒頭からトップスピードの物語は二転三転しなかなか先が読めない。その上、今回はキーパーソンとなる中国人のほうが断然存在感が強く、同じ趣向を3回繰り返す愚を避けている。

奇行が目立つアランを施設に入所させようとするフィルたちは、道中ギャングに拉致される。ボスのマーシャルから、チャウが横取りした金塊を取り戻してこいと脅され、アラン、ステュと共にメキシコにいるチャウを捕まえに行く。

泥酔して我を忘れていたからこそ日常生活でたまっていた鬱屈を吐き出し、バカ騒ぎしていたフィルたち。だが、素面のままでは自分の不始末のツケを払わされる感覚に乏しく、アランがチャウのメル友というだけでは厄介ごとに巻き込まれた説得力に欠ける。また、笑いのクオリティもドタバタ調が主体となっているため下がり気味。全般的にアイデアに冴えがなく、期待していたほどのスリルも味わえず、中途半端さばかりが残る。せっかくなんでもアリの虚栄の街・ラスベガスに戻ってきたのに、ホテルのネオンを壊したり街をリムジンで暴走する程度しか見せ場を作ってくれないのは残念だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

結局、フィルたちに感情移入できないのが楽しめなかった原因だろう。いまや本音をさらけ出しているのはイカれてしまったアランのみ。美しい声の持ち主だったり、歌を通じて新たな恋を見つけたりするなど、ダメ人間の彼が一番魅力的に映った。己を偽らずに生きる、その素晴らしさは伝わってくる作品だった。

オススメ度 ★★

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