こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ムービー43

otello2013-07-18

ムービー43 MOVIE 43

監督 ピーター・ファレリー/ブレット・ラトナー/ジェームズ・ガン
出演 ハル・ベリー/ケイト・ボスワース/ジェラルド・バトラー/リチャード・ギア/クロエ・グレース・モレッツ/テレンス・ハワード/ヒュー・ジャックマン/ジャスティン・ロング/デニス・クエイド/エマ・ストーン/ユマ・サーマン/ナオミ・ワッツ/ケイト・ウィンスレット
ナンバー 164
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

デート相手の男はルックスもキャリアも完璧なのに、なぜか喉元に2つの玉が入った袋をぶら下げている。冷えると縮み上がり、常温では元通りになってあごの下で揺れている。本人も周囲の人々もまるで当たり前であるかのように振る舞い、意識しているのは自分のみ。幻覚なのか担がれているのか、信じがたい光景に女は戸惑いを隠し切れない。見てはいけないと思っても、好奇心に負け凝視してしまううちに、彼女の中でそんなアホなという疑念が芽生え、やがて不快感が充満していく。あまりにもナンセンスな妄想、でも腹の皮がよじれるほどおかしく椅子から転がり落ちるほど笑ってしまった。

ハリウッドにある大手スタジオの一室、押しかけた脚本家がプロデューサーに新作の企画書を次々と披露する。それらは下品な下ネタ満載で、映画化はもちろん聞いているだけでも怒り出したくなる駄作ばかりだった。

他にも婚約間近のカップルの女が恋人に要求する変態的な行為や、自宅敷地内で高校生の一人息子を育てる両親の一風変わった教育方法など、それぞれ1本あたり10分に満たない。だがその短さゆえテンションが途切れず、バカげた世界観であってもいつの間にか浸ってしまった。その上、オチのある話もない話も決して教訓めいたところがないので、かえって余韻が残る。さらに表現自体は下劣でも、そこに人間のリアルな感情が再現されているために、いつしか登場人物の誰かに共感してしまうのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、やはり出来のいいものから順番に並べた感じは否めず、見ている側の慣れもあるのだろうが時間が経つにつれて衝撃度が下がっていく。特に冒頭のエピソードが非常に強烈だっただけに、あとはジェラルド・バトラーリチャード・ギアハル・ベリーなどの超大物が何を演じていても、ヒュー・ジャックマンインパクトを超えることはできなかった。全体の構成に、題材を生かす工夫がもうひとつあればよかったのだが。。。

オススメ度 ★★*

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