こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マジック・マイク

otello2013-07-20

マジック・マイク MAGIC MIKE

監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 チャニング・テイタム/アレックス・ペティファー/マット・ボマー/マシュー・マコノヒー/ジョー・マンガニエロ/コディ・ホーン/オリヴィア・マン
ナンバー 176
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

古代ギリシアの男性裸像を連想せる筋肉に覆われた肉体は芸術品のようだ。パワフルでセクシーなダンスのために鍛え抜かれた男たちは、分厚い胸板と割れた腹筋、盛り上がったヒップを誇示しながら、腰を振り体をくねらせて女たちの嬌声を浴びる。アルコールとカネとセックスの匂いが充満したナイトクラブ、映画はその世界をステップに成功を夢見るダンサーが人生について真剣に考えるようになるまでを描く。カメラが覗く華やかな舞台の表と裏、そこは欲望や嫉妬といった感情がドロドロと渦巻いているのかと思っていたが、意外とダンサーたちは皆仲が良く連帯感が強い。それは彼らが性欲だけは常に発散させているからろうか。。。

男性ストリッパーのマイクはバイト先で知り合ったアダムをいきなりステージに上げ、緊張しつつも女性客を熱狂させたアダムを仲間に迎え入れる。その後アダムを送ったマイクは、アダムの姉・ブルックに取り巻き女にはない魅力を覚える。

朝起きたら名前も知らない女がベッドで寝ている。自分は陰毛を剃りさっさとバイトに出かけるマイク。とりあえずカネと女には不自由していないし、それなりに忙しく立ち働いてはいる。ところが、手作り家具で起業する計画が銀行で融資を断られ、マイクは己が限りなくフリーターに近い存在だと思いしらされる。マイクにとってストリッパーはあくまで目標ではなく通過点のはず。居心地の良さにずるずると引きずられ、出口を探す間にもう若くない年齢になってしまった彼の葛藤がリアルに再現される。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方、気づかなかった才能に目覚めたアダムはストリッパーの仕事を楽しみ、さえない日常が瞬く間に輝き始めたと感じている。そんなものは短い間の虚栄でしかないことをマイクは教えるが、アダムは聞く耳を持たずドラッグに手を出したりする。若いうちは選択肢がたくさんあり、何者にでもなれると根拠なき自信にあふれている。しかし、現実は甘くない。30歳までに進むべき道を見つけるべしとこの作品は忠告しているのだ。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓