こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

素敵な相棒〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜

otello2013-08-16

素敵な相棒〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜
ROBOT & FRANK

監督 ジェイク・シュライヤー
出演 フランク・ランジェラ/スーザン・サランドン/ジェームズ・マースデン/リヴ・タイラー/ピーター・サースガード
ナンバー 201
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

記憶を蓄え、それをもとに思考するからこそ人間。一切のメモリーを消去されても平気でいられるのがロボット。「我思う、ゆえに我あり」の言葉に象徴される人間とロボットの違いは明確だ。だが、テクノロジーの進化で“感情”のようなものを抱くロボットは、人間の友になれるのか。物語は軽度のアルツハイマー症老人と高性能ヘルパーロボットの交流を通じ、何が人間を人間足らしめているかを問う。「忘れてしまった」ことすら覚えていない主人公は、徐々に人格が崩壊していく恐怖と闘いながらも頑固な生き方を変えない。彼を一番理解しているのが家族ではなくロボットである皮肉が、高齢化社会の行く末を暗示する。

物忘れがひどく苛立ちを隠せない元泥棒のフランクは、息子から介護ロボットをプレゼントされる。当初は拒否していたが、完璧に家事をこなし世話を焼いてくれるロボットに心を開いていく。

限りなく人間の精神に近い機能をもつロボットにいかにもロボット風の外観を与えているのは、過剰に情が移るのを防ぐためだろう。ロボットのおかげで積極さと健康を取り戻したフランクは、かつて情熱を注いだ泥棒稼業に復帰するためロボットに錠前破りのテクニックを教え、やがてわが子より深い絆を感じ始める。ロボットは犯罪行為に手を貸すが、持ち主のやる気を刺激するようにプログラムされているからという屁理屈が笑える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

結局、実の息子も娘もフランクの事を心配しているが、自分たちの思いをフランクに押し付けてもいる。ロボットはフランクの気持ちを慮りつつフランクに寄り添っている。家族の愛以上に満ち溢れた、ロボットの愛、いつしかロボットはフランクに不可欠な存在になり、ロボットは自己犠牲を払ってフランクを救おうとまでする。ロボットが良きパートナーとして人間と共存し、なおかつロボット3原則は守られている、そんな未来に希望が持てた。

オススメ度 ★★★

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