こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マン・オブ・スティール

otello2013-09-03

マン・オブ・スティール Man of Steel

監督 ザック・スナイダー
出演 ヘンリー・カビル/エイミー・アダムス/マイケル・シャノン/ケビン・コスナー/ダイアン・レイン/ラッセル・クロウ
ナンバー 214
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

過剰に鋭敏な感覚と超人的な身体能力を持つ者は、普通の人間にとって驚きや憧れ以上に恐れの対象でしかない。ゆえに幼少時より父親から力の封印を躾けられた若者は、正しい使い方を探して放浪し、人助けをして姿を消す。自分は何者なのか、なぜこんな力を持っているのか、物語はそんな主人公の魂の彷徨をみつめる。映画のプロローグ、宇宙の遥か彼方、崩壊しつつある惑星ととどまる人々の主導権争いは壮大かつ精緻なヴィジュアルに彩られ、圧倒的な情報量には目をみはるばかり。その映像には先進文明が生んだ哲学が貫かれ、強烈な引力となって見る者を作品世界に引き込んでいく。

クリプトン星のジョー・エルは、生まれた息子を地球に脱出させる。農夫がクラークと名付けて赤ちゃんを育てるが、養父の死後、彼はあてのない旅に出ていた。ある日クラークは北極の氷床に埋まった飛行船を発見、そこでジョーからのメッセージを受け取る。

己の出自を知ったクラークは青いボディスーツに身を包み大空を飛ぶ。アイデンティティを取り戻した彼は初めて自由を得た喜びで全身を満たすかのよう。音速を超える飛翔のスピードが、失われた過去への決別と未来への希望を表現していた。一方で、クラークの秘密を探ろうとする新聞記者・レインが彼の正体を記事にしようとするが、良識派の編集長に止められるあたり、いまだ社会は異星人を受け入れる準備ができていないことを示す。スーパーヒーローは実力に応じた活躍ができるときまで、じっと息をひそめていなければならないのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして地球に現れたクリプトンの反逆者・ゾッド将軍一派は、クラークに戦う理由を与える。それは長年彼が探し求めていた人生の意義であり、誰はばからず良心に従って力を発揮できるチャンス。ある意味、ゾッド将軍はクラークの運命の扉を開くきっかけでもある。進むべき道を見つけたクラークの今後の冒険に期待したいが、最初からこれほどの強敵を迎えてしまって続きが作れるのだろうか。。。

オススメ度 ★★★

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