こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴースト・エージェント R.I.P.D.

otello2013-09-06

ゴースト・エージェント R.I.P.D.

監督 ロベルト・シュヴェンケ
出演 ライアン・レイノルズ/ジェフ・ブリッジス/ケヴィン・ベーコン/メアリー=ルイーズ・パーカー
ナンバー 202
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ショットガンを浴びて落下、床にたたきつけられた男が目を開けると、人は鼓動を止め、飛び交う破片や銃弾、パトカーまでが空中で静止している。固まってしまった世界で覚醒し足を動かしているのは自分だけ。3Dで再現された奇妙な感覚、奥行ある映像が「死」をリアルに実感させる。物語は殉職した刑事が、成仏せずに悪事を企む悪霊たちを取り締まる捜査官になって大活躍する姿を描く。未練を残した妻に思いを伝えたいが、全くの別人の外見で復活しているため取り合ってもらえない。そのギャップが、派手なアクションの中にもユーモアと切なさをもたらし、主人公の愛の深さを代弁していた。

ボストン市警察のニックは金塊の横領に後ろめたさを覚え返納しようとするが、ガサ入れの最中に相棒のボビーに殺されてしまう。あの世の入り口で悪霊捜査官・R.I.P.D.に志願したニックは、開拓時代からのベテラン捜査官・ロイとコンビを組んで地上に戻ってくる。

R.I.P.D.隊員同士には生前の風貌のまま認識されるが、生きている人間にはニックは中国人の老人、ロイはブロンド美女に見えている。ボビーがニックの妻・ジュリアに近づき金塊の隠し場所を聞き出そうしても、ニックに阻むすべはない。憎き仇がジュリアに食指を伸ばしているのに手をこまねいているしかないニックの無念、一方で悪霊相手に街中で暴れまわるロイに付き合わされる。このあたり、よき捜査官としての確固たるアイデンティティがもはや通用しなくなっているニックの、心の痛みが身につまされる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

悪霊から押収した金塊があの世から悪霊たちを呼び戻すトンネルの一部と知ったニックとロイは、停職処分を受けたにもかかわらず独自に捜査を続行、思わぬ人物にたどり着き、ニックは謀殺の真実に気づく。ただ、映画は謎解きの面白さよりも視覚効果に軸足を置き、悪霊ハンター対悪霊たちのバトルで楽しませようとする。あらゆる方向から降り注ぐ多大な情報量のCGと音響の圧倒的な臨場感に、体験型アトラクションに参加している気分を味わった。

オススメ度 ★★*

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