こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブロークンシティ

otello2013-09-10

ブロークンシティ BROKEN CITY

監督 アレン・ヒューズ
出演 マーク・ウォールバーグ/ラッセル・クロウ/キャサリン・ゼタ・ジョーンズ/ジェフリー・ライト/バリー・ペッパー/アロナ・タル/ナタリー・マルティネス
ナンバー 217
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

欲望渦巻く汚れきった町、政治家もまた金権体質にまみれ強欲を隠さない。市長選を控えたNY、再開発の利権をめぐって現職市長と対立候補が公開討論する場面が刺激的だ。公共工事か、富裕層への増税か。まるで財政再建に苦慮する昨今の日本の現状を見るような身近な話題に、否応なく引きずり込まれる。映画は、とんでもないスキャンダルを入手した探偵が、そこに仕組まれた罠に気づくうちに自らも命の危険にさらされていく過程を描く。地道な調査と意外な真実、そして主人公は更なる陰謀の深みに足を取られていく。自分自身の良心とも戦う運命に直面する苦悩に満ちた探偵をマーク・ウォールバーグが熱演、荒んだ街並みにぴったりとなじんでいる。

捜査中に容疑者を射殺したビリーは無罪になったものの警察を退職、今は探偵事務所を開いている。ある日、市長のホステラーに呼び出されたビリーは、ホステラーの妻・キャサリンの浮気調査を依頼される。果たしてキャサリンの相手は対立候補の選対部長だった。

ビリーはキャサリンに尾行をやめるようくぎを刺されるが、証拠写真をホステラーに渡してしまう。折しも市長選を直後に控え、支持率を挽回したいホステラーホステラーとキャサリン仮面夫婦なのか。ホステラーと対立候補の言い分はどちらが正しいのか。さらに再開発業者との癒着と内通者の存在。謎が謎を呼ぶ展開の中で、最初からビリーはホステラーの捨て駒にされていたのだけは確か。政治家と土建屋が巨利をむさぼろうとする、オリンピック招致でこんなきな臭い話が東京でもあちこちで出るのではと思わせる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてビリーはホステラーを追いこむネタをつかんだにもかかわらず、ホステラーはその上を行く切り札を用意している。そこで明らかになるビリーの真実。数年後を見越してさまざまな人間の弱点を握っておき、ここぞというタイミングで使う。NYという巨大な都市を治めるためには、政治理念のみならず、狡猾で周到な戦略と時に手を汚すのも辞さない覚悟が必要なことを、ホステラーは見事に体現していた。

オススメ度 ★★★

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