ランナウェイ 逃亡者 THE COMPANY YOU KEEP
監督 ロバート・レッドフォード
出演 シャイア・ラブーフ/ジュリー・クリスティ/テレンス・ハワード/スタンリー・トゥッチ/サム・エリオット/リチャード・ジェンキンス/ニック・ノルティ/クリス・クーパー/スーザン・サランドン
ナンバー 247
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
正義の闘いだったはずなのに無辜の市民を死なせてしまった。その事実は30年を経ても良心の呵責となって元活動家たちを責める。罪を償うべきか逃げ続けるべきか。物語は、1960年代の過激派が、元同志の逮捕で窮地に追い込まれる姿を描く。もはや老人の域に達した彼は、今は平穏に暮らし守るべき家族もいる。だが消したかった過去は思わぬところからかま首をもたげてくる。そして彼の逃亡劇は自分自身の真実を再発見する旅でもある。相変わらず好青年が齢を重ねたようなロバート・レッドフォードが、息も絶え絶えにジョギングするシーンが時の流れを感じさせた。
30年前の銀行強盗および殺人容疑でベトナム反戦運動の元闘士・シャロンがFBIに拘束される。新聞記者・ベンは事件の取材を進めるうちに、地元の弁護士・ジムの正体が同事件で指名手配中のニックだと突き止める。ニックは娘を弟に預けて列車に飛び乗る。
FBIを出し抜いて逃走するニックは、かつての同志・ミミの消息を求め、昔の仲間を訪ね回る。今は皆、地道な職につき、政府相手に戦っていたころの面影はない。当然30年前の忌まわしき亡霊ともいえるニックの訪問を歓迎していないのは明らかで、旧交を温め合うなどというセンチメンタルなことはしない。それでも、決してニックを裏切ったりはせず、救いの手を差し伸べるのは、むしろニックに自らの過去の清算を託しているから。そのあたり、仲間との信頼だけは守ろうとする、命がけの修羅場を乗り越えてきた彼らの絆に、強固な意志を持って生きてきた人々の信念がうかがえた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ところで、彼らが悪名をとどろかせたのは1969年の話。それから30年後といえばおおざっぱでも21世紀初頭が物語の舞台のはず。にもかかわらずベンは当時まだ世に出ていないスマホで写真を撮るし、シャロン逮捕を報じる新聞の日付も2011年10月5日。彼らが別人として過ごしてきた30年より、この10年の空白のほうが気になった。。。
オススメ度 ★★*